なす 茄子 Eggplant
基礎データ DATA
ナスの旬(出回り時期)
※これはナスの出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 青果物卸売市場調査 品目別:主要卸売市場計(2023年)を参考にしています
ナスの概要
なすは淡泊な味でクセがなく、油との相性がよい野菜です。味もしみこみやすく、加熱すると食感がなめらかになり、天ぷらやおひたしなど日本料理によく合う食材といえるでしょう。
種類は3cmほどの小なすから40cmの大長なす、ボールのような丸なすなどさまざまで、色も白、緑、紫とバラエティー豊か。一般的な中長なすは煮ても焼いても揚げてもおいしく、いろいろな料理に活用できます。また、東北地方で栽培されている小なすは浅漬けに、京都の丸なすは田楽といったように、品種の特徴を最大限に生かした調理法を楽しめるのも魅力のひとつです。
ナスの歴史
なすの原産地はインド東部といわれています。インドでは紀元前から栽培されていて、東ルートで東南アジアや中国、西ルートで中東や地中海沿岸を経てヨーロッパに伝わったと考えられています。中国に伝わったのは紀元前5世紀頃ですが、ヨーロッパに伝わったのはだいぶ遅く13世紀頃といわれています。
日本にいつ渡来したのかはわかりませんが、少なくとも奈良時代には栽培が行われていたようです。正倉院文書には天平六年(734年)に「茄子」についての記載があり、平城京の遺構から発掘された木簡(736年~)にも複数の記録が残っています。日本各地に伝播したなすは、それぞれの地域ごとに改良が進み、さまざまな品種に枝分かれしていきました。
ナスの選び方(見分け方)
皮が濃い紫色で、張りとツヤがあり、ふっくらしていて同じ大きさなら重みのあるもの。ヘタの切り口がみずみずしく、トゲがピンととがっているものが新鮮です(トゲのない品種もあります)。ヘタがしおれていたり皮の表面にシワがあるものは収穫してから時間が経っています。
ナスの保存方法
冷気と乾燥が苦手なので新聞紙などに包んで涼しい冷暗所、または冷蔵庫の野菜室で保存します。室温の場合2日くらいは持ちますが、気温の高い時期や少し長めに保存したいときは冷蔵保存のほうがよいでしょう。
冷蔵する場合は、新聞紙で包んでポリ袋に入れて野菜室へ。ただし冷やしすぎるとかたくなり味が落ちるのでなるべく早く食べましょう。
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ナスの食べ方
炒め物、煮物、揚げ物、焼きなす、パスタ、漬け物など
空気に触れると酸化して変色するので、カットしたらすぐに調理しましょう。アクが気になる場合は水にさらしますが、長時間さらすと水っぽくなるうえにアントシアニンが溶け出すので要注意。
なすを水洗いするときは、先にヘタを切っておくとトゲが指にささる心配がありません。
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ナスの栄養と効能
ゆで:カリウム(180mg)
注目成分
ナスニン
期待される効能
がん予防、眼精疲労、高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防
なすの皮にはアントシアン系色素である「ナスニン」というポリフェノールの一種が含まれています。ナスニンには発がんや抑制する抗酸化作用があり、眼精疲労にも効果があるといわれています。そのため、なすを調理するときは皮ごと使いましょう。
カリウムも比較的多く含まれています。カリウムは血圧の上昇を抑える作用があるので、生活習慣病の予防にも効果が期待できます。
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ナスの種類(品種)
中長なす
市場に多く流通している一般的ななす。13〜15cmくらいの長卵形で、皮は濃い黒紫色。皮、果肉ともほどよいやわらかさで煮物、焼き物、揚げ物などさまざまな調理に使えます。「千両なす」ともいわれ、品種としては「千両」や「千両二号」「早生大名」などがあります。
丸なす
コロッとした丸いなすで、大きさは野球ボールやソフトボールくらい。皮の色は濃い紫で肉質は緻密でずっしりとしています。京野菜として有名な「賀茂(かも)なす」や長野県の「小布施丸なす」、奈良県の「大和丸なす」などがあります。調理法は田楽や揚げ物、焼き物などがおすすめ。また新潟県の「魚沼巾着」は煮物や漬け物にも使えます。
小なす
3〜8cmくらいの小さいなすで「丸形」と「卵形」があります。皮がやわらかく肉質が締まっているので漬物に最適。山形県の名産「からし漬け」に使われる「民田(みんでん)なす」や、果肉のやわらかい「ちび丸」、果肉がやわらかく浅漬けするとおいしい新潟名産の「梨なす(黒十全)」などがあります。
米なす
アメリカの品種を日本で改良した大型のなす。皮の色は黒紫でヘタが緑色をしています。果皮はかためで肉質は締まり煮崩れしにくいのが特徴。焼き物や煮物、田楽などに向いています。基本的に加熱した調理のほうがおいしく、生で食べる漬け物にはあまり向いていません。
水なす
水分が多くて皮、果肉ともやわらかく、漬け物にするのがおすすめ。大阪の泉州地方の特産として有名で、絞ると水分がしたたるほどみずみずしく、アクも少なくほのかに甘味もあります。皮は濃い紫で卵形。品種としては「泉州絹皮水なす」や「SL紫水」「みず茄」などがあります。
長なす
20cm以上の長いなすで、皮は少しかためで果肉はやわらかく、焼きなすや田楽、炒め物、煮物などに適しています。おもに西日本や東北で栽培されていて、仙台では「長なす漬け」が特産として知られています。また九州では40cmにもなる「大長なす」が作られていて、「博多長」「久留米長」などの品種があります。
白なす
皮の色が白いなすで、アントシアニン色素や葉緑素がないため完熟しても果皮が紫色になりません。皮は少しかためで炒め物や揚げ物に向いています。品種としては中長の「スノーウィ」やスラリと長い「味しらかわ」など。なお、各地に昔からの在来種があり淡緑色のものを白なすと呼んでいる地域もあります。
青なす
別名「緑なす」ともいわれている皮が薄緑色〜緑色のなす。地域によっては「白なす」と呼ばれることもあります。皮はかためで、火を通すと果肉がやわらかくなり、田楽や焼きなすにぴったり。果肉がややかための「埼玉青大丸なす」や、やわらかくて生食もできる「万寿満(ますみ)」などがあります。
各地の年間収穫量 なす
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
出典:農林水産省統計
2022年のなすの収穫量のうち最も多いのは高知県で、約4万600トンの収穫量があります。2位は約3万3,400トンの収穫量がある熊本県、3位は約2万8,500トンの収穫量がある群馬県です。
栽培面積・収穫量の推移
出典:農林水産省統計
2022年のなすの栽培面積は約7,950ヘクタール。収穫量は約29万4,600トンで、出荷量は約23万6,900トンです。
ナスの輸入先と輸入量
出典:財務省統計
日本に輸入されているナスはすべて韓国から来ています(韓国以外に統計データがありません)。輸入量は約2.1トンで、輸入額は約61万円。1キログラム当たりの単価は約289円です。
年別輸出入量
出典:財務省統計
ナスは海外から輸入されています。2022年の輸入量は約2.1トンで輸入額は約61万円です。輸入量は前年と比べると16.4トン(約89%)減少しています。
主要生産国(上位5か国)
出典:FAOSTAT(2021年)
ナス類生産の上位5か国は、中国、インド、エジプト、トルコ、インドネシアです。1位の中国の生産量は年間約3,828万4,897トンで全体の約65%を占めています。2位のインドは年間約1,276万5,000トンで全体の約22%、3位のエジプトは年間約139万6,725トンで全体の約2%です。
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