きくらげ 木耳
基礎データ DATA
キクラゲの概要
黒くて平たくコリコリとした歯ごたえのあるキクラゲ。クセのない淡泊な味で、炒め物やスープなど、おもに中華料理で利用されることが多い食材です。
名前に「クラゲ」と入っていますが、海産物ではなくきのこの一種。食感がクラゲに似ていることからこの名前になったといわれています。また漢字では「木耳」と書きますが、これはキクラゲの形が耳に似ていることが由来だそうです。
天然のキクラゲは広葉樹の枯れ木などに生えますが、流通しているものの多くは人工栽培されたものです。生キクラゲと乾燥させたものがあり、生キクラゲは夏から秋がシーズン。おもに九州で栽培されています。乾燥キクラゲは周年出回っていて、その多くは中国産ですが、熊本県や鹿児島県など国産品も少量ながら流通しています。
キクラゲの歴史
キクラゲは日本や中国などアジアに分布し、日本では古くから食べられていたようです。室町時代以前の文献には記述がなく、江戸時代の「本朝食鑑」(1697年)に「木海月」の名で紹介されています。また「菜譜」(1698年)にも「木耳」として栽培法が記載されています。これらの文献には「諸木に生ず」と記されているので、比較的手に入れやすい食材だったようです。
明治時代に編纂された「古事類苑」には、後水尾天皇が寛永三年(1626年)に二条城に行幸した際に振る舞われた膾(なます)の材料の1つとして「木耳」が記載されています。
キクラゲの選び方(見分け方)
肉厚でツヤがあり、色が濃くてカサの大きなものがおすすめ。表面がとけていたり、やわらかくなっているものは鮮度が落ちています。なお、表面に白い胞子が付いていることがありますが、これはきのこ類に付く菌なので食べても問題ありません。水洗いすると落ちます。
乾燥キクラゲも形がしっかりしていて厚みのあるものがよいでしょう。
キクラゲの保存方法
生キクラゲはパックのまま、またはラップで包むなどして冷蔵庫の野菜室で保存します。水に触れると鮮度が落ちるので、水気に注意してください。状態がよければ10日くらい持つようですが、なるべく早く使い切りましょう。
乾燥キクラゲは常温でも保存可能ですが、冷蔵庫に入れてもOK。保存場所の湿気が上がらないよう注意してください。
キクラゲの食べ方
炒め物、酢の物、スープ、ラーメンの具、サラダなど
生キクラゲは加熱してから食べるのが基本です。酢の物やサラダなどの場合、生のままではなく、水洗いして1分ほどゆでてから味付けをしましょう。石づきの部分はカットします。白キクラゲの調理法も同様です。
乾燥キクラゲは水で戻してから調理します。水に30分~1時間ほど浸すと5~7倍くらいの量になります。よく水で洗い、生キクラゲと同様、熱処理してから食べましょう。根元に石づきが付いている場合は調理前にカットしておきます。
キクラゲの栄養と効能
ゆで:食物繊維総量(5.2g)、ビタミンD(39.4mcg)
期待される効能
便秘予防、骨粗鬆症
キクラゲは腸のぜん動運動をサポートする食物繊維を多く含みます。またカルシウムの吸収を助けるビタミンDも豊富で、骨や歯の形成に役立つでしょう。
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キクラゲの種類(品種)
キクラゲ
全体が黒くて平らな形のきのこ。コリコリとした歯触りで、中華料理によく利用されます。生キクラゲは水で戻す手間がなく、食感も乾燥キクラゲに比べてやわらかいのが魅力。国内で流通している生キクラゲは九州など国内産のものが多いです。
白キクラゲ
全体が白くて平たい形のきのこ。中国では「銀耳」と呼ばれ、黒キクラゲと同様にコリコリとした食感で淡泊な味です。白キクラゲは中国産の乾燥ものが主流でしたが、最近は国内産の生の白キクラゲも流通しています。なお白キクラゲは「シロキクラゲ科シロキクラゲ属」なので、キクラゲとは分類が異なります。
乾燥キクラゲ
キクラゲを乾燥させたもので、水で戻してから調理します。黒いキクラゲだけでなく、白キクラゲの乾燥品もあります。いずれも流通しているものの多くは中国産ですが、国内産のものもあります。
各地の年間収穫量 きくらげ
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
出典:農林水産省統計
2022年のきくらげの収穫量のうち最も多いのは山口県で、約279トンの収穫量があります。2位は約200トンの収穫量がある大分県、3位は約198トンの収穫量がある茨城県です。
栽培面積・収穫量の推移
出典:農林水産省統計
2022年のきくらげの収穫量は約1,647トンです。なお、上記グラフでは「収穫量」となっていますが、農林水産省の表記では「生産量」となっています。