さやえんどう 莢豌豆 Garden pea
基礎データ DATA
サヤエンドウの旬(出回り時期)
※これはサヤエンドウの出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 青果物卸売市場調査 品目別:主要卸売市場計(2023年)を参考にしています
サヤエンドウの概要
えんどうは大きく分けて、若いさやを食用とする「さやえんどう」と、未熟な豆を利用する「実えんどう」、そして完熟した豆を乾燥させて利用する「えんどう」があります。さやえんどうの代表は「絹さや」で、実えんどうの代表は「グリーンピース」。また、スプラウトの一種「豆苗(とうみょう)」はえんどうの若芽です。ここでは、さやごと食べるさやえんどうについて紹介していきます。
さやえんどうの中でも絹さやは色鮮やかで食感もよく、煮物やお吸い物などの彩りとして最適。最近はふくらみのある「スナップえんどう」や「砂糖さや」なども人気です。
サヤエンドウの歴史
えんどうの原産地は中央アジアから中近東、地中海沿岸にかけての地域と考えられています。数千年前から存在し、古代ローマや古代ギリシャでも栽培されていて、エジプトのツタンカーメンの墓からも出土しています。
その後インドや中国に伝わり、8~10世紀頃に中国から日本へ入ってきたとされます。平安時代に編纂された辞書「和名抄(わみょうしょう)」に記載されている野豆(和名 乃良末女:のらまめ)はえんどうのことです。
えんどうは長い間穀物として利用されていましたが、13世紀頃にフランスで若いさやを食べるようになり、後にグリーンピースとしての利用に発展。日本では江戸時代になってからさやえんどうを食用とするようになったといわれています。明治時代になると欧米から優れた品種が導入され、全国に普及しました。
ちなみに、ツタンカーメンの墓から発見されたえんどうは、後に発芽に成功したそうで、その品種(さやが赤紫色)の種が家庭菜園用として売られています。
サヤエンドウの選び方(見分け方)
さやがきれいな黄緑色で、張りがあってみずみずしいもの。先端についているひげが白くてピンとしていて、中の豆のふくらみが小さいものを選びましょう。豆が大きいと育ちすぎでかたく、食味が落ちることがあります。
また、さやが黄色っぽくなっていたり、ひげが変色しているものが古いので避けましょう。新鮮なさやえんどうは、折ったときにパキッとなります。
サヤエンドウの保存方法
さやえんどうは乾燥に弱いので、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。その際、新聞紙(軽く湿らせても可)で包んでからポリ袋に入れてもよいでしょう。3~4日を目安になるべく早く使い切ってください。
長期間保存したい場合は冷凍もできます。スジを取ってかためにゆで、水分をよくふき取って保存容器などに入れて冷凍庫へ。必要な分だけ取り出してそのまま使えます。1か月程度を目安に使い切りましょう。
サヤエンドウの保存方法を見る
サヤエンドウの食べ方
炒め物、和え物、煮物、卵とじ、汁物、ちらし寿司など
火を通しすぎると色も食感も悪くなるので加熱は短時間で。煮物などは火を止める直前に入れるくらいで大丈夫です。スジのあるものは、両端を折り、スッと引いてスジを取っておきます。色よく仕上げたいなら、サッとゆでたあとに冷水につけるとよいでしょう。
スナップエンドウもゆで時間は1~2分程度と短めでOK。塩やマヨネーズなどをつけるだけで簡単なおつまみになります。
サヤエンドウの栄養と効能
絹さや/ゆで:ビタミンC(44mg)、カリウム(160mg)
期待される効能
高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防、便秘予防
絹さやは1度にそれほど量を食べる野菜ではないので、栄養はあまり期待はできませんが、風邪予防や美容効果のあるビタミンCが多く含まれています。また高血圧予防によいとされるカリウムのほか、抗酸化作用のあるβカロテン、整腸作用のある食物繊維なども含まれています。
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サヤエンドウの種類(品種)
絹さや(きぬさや)
長さ5〜7cmほどでさやが薄く、皮が黄緑色のさやえんどう。実がとても小さく若い状態で収穫されます。シャキッとした歯触りでほのかに甘味があり、色も鮮やかなのでちょっとしたアクセントにも便利。煮物や炒め物、汁物などによく合います。店頭では明記されませんが「赤(白)花絹さや」「美笹」など多くの品種があります。
スナップエンドウ(スナックエンドウ)
さやが肉厚でふっくらとしていて、中の大きめの豆をさやごと食べるエンドウ豆です。長さ7〜8cmほどで、さやはやわらかくて歯触りがよく、おつまみやサラダ、和え物、天ぷらなどさまざまな料理に使えます。もともとアメリカで育成されたものを導入して1970年代後半に販売を開始。甘くて食味がよいことから普及しました。「スナックエンドウ」と呼ばれることもありますが、これは種苗メーカーが発売当初から「スナック」という名前を使用しているためです。
砂糖えんどう
「砂糖さや」や「さとうざや」などともいわれ、絹さやを品種改良したものです。絹さやに比べてさやが厚めでふくらみがあり、豆も少し大きめ。さやはやわらかくて甘味があり、シャキッとした食感でさやごと食べられます。糖度が高いことが名前の由来だそうです。
大型絹さや
さやが10cm以上になる大型のさやえんどうです。絹さやを大きくしたようなサイズでさやは平たく、中の豆は小さめ。シャキッとした歯ごたえで炒め物や揚げ物などに適しています。昭和初期にカナダから導入された「オランダ大莢」や「仏国大莢」などがあり、おもに関西や九州などで栽培されています。
各地の年間収穫量 さやえんどう
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
出典:農林水産省統計
2022年のさやえんどうの収穫量のうち最も多いのは鹿児島県で、約4,980トンの収穫量があります。2位は約1,490トンの収穫量がある愛知県、3位は約1,060トンの収穫量がある福島県です。
栽培面積・収穫量の推移
出典:農林水産省統計
2022年のさやえんどうの栽培面積は約2,650ヘクタール。収穫量は約1万9,300トンで、出荷量は約1万3,100トンです。
サヤエンドウの輸入先と輸入量
出典:財務省統計
サヤエンドウは5か国から輸入されています。輸入先トップはペルーで輸入量は約176トン、全体の約40%を占めています。2位はタイの約127トンで全体の30%近くを占めています。3位は中国の約98.7トン。4位は約39.9トンのグアテマラと続きます。
年別輸出入量
出典:財務省統計
サヤエンドウは海外から輸入されています。2023年の輸入量は約445トンで輸入額は約3億8,098万円です。輸入量は前年と比べると37.8トン(約8%)減少しています。
主要生産国(上位5か国)
出典:FAOSTAT(2021年)
サヤエンドウ&グリーンピース生産の上位5か国は、中国、インド、パキスタン、フランス、アメリカです。1位の中国の生産量は年間約1,156万5,652トンで全体の約55%を占めています。2位のインドは年間約618万2,000トンで全体の約30%、3位のパキスタンは年間約38万7,848トンで全体の約2%です。
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