なばな 菜花 Rapeseed
基礎データ DATA
ナバナの概要



なばな(菜花)は「菜の花」や「花菜(はなな)」とも呼ばれるアブラナ科の野菜で、若くてやわらかい花茎や葉、つぼみを食用にします。特有のほろ苦さがありますが、ゆでると甘味が出てお浸しや和え物などにするとおいしい食材です。
一般的に菜の花というと春に咲く黄色い花を思い浮かべますが、じつは菜の花はアブラナ科の黄色い花の総称で、1種だけを限定する名称ではありません。菜の花には観賞用のほか、菜種油用のナタネ、食用のなばながあり、それぞれ品種が異なります。
小松菜やちんげんさいなども春に花茎とつぼみが出てなばなとして食べられますが、一般的に流通しているなばなの多くは、品種改良されたものです。
なばなには和種(在来)と西洋種の2タイプに分けられ、和種は花茎とつぼみと葉を利用し、西洋種はおもに花茎と葉を食べます。なお、川沿いの土手などに咲いている野生のものは、西洋アブナラの近縁の「西洋カラシナ」であることが多いようです。
ナバナの歴史


なばなは地中海沿岸が原産地とされています。日本にいつ伝わったのかは不明ですが、奈良時代以前には伝来し、食用されていたと考えられています。16世紀には油を取るために栽培も行われていたようで、江戸時代には照明などの用途にナタネ油が使われていました。
明治時代になると西洋種のなばなが導入され、昭和になると食用としての品種改良が進み、現在では広く食べられています。ただ、農家の人々は古くから食用として利用していたようです。
ナバナの選び方(見分け方)

葉と茎がやわらかくて張りがあり、切り口がみずみずしいもの。つぼみが開いておらず小さく締まっているものが良品です。鮮度が落ちて乾燥すると切り口が白っぽくなり空洞ができます。一般的に花が開いたものは苦味が強くなり食感も悪くなるので、花が咲く直前のものを選ぶとよいでしょう。
ナバナの保存方法

乾燥を防ぐため新聞紙などに包んでポリ袋に入れ冷蔵庫の野菜室に入れます。2~3日を目安に。テープなどでひとまとめにされているものは外しておくとよいでしょう。
長期保存したい場合は冷凍も可能です。かためにゆでて水気をよく切ったものを小分けにしておくと、少しずつ使えて便利です。
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ナバナの食べ方

炒め物、お浸し、和え物、揚げ物、漬け物、汁の実、パスタなど
塩をひとつまみ入れた熱湯でゆでて、冷水に取って水気を切ればお浸しに。ゆでるときは、茎の太い部分とやわらかい葉の部分を分けて、先に茎からお鍋に入れると均等に加熱できます。少し歯ごたえが残るくらいのかたさでお湯からあげるとよいでしょう。
なばなはβカロテンが豊富なので、油で炒めると効率よく摂取できます。アクが気になるようならサッと下ゆでしてから炒めましょう。
ナバナの栄養と効能
和種なばな/ゆで:カリウム(170mg)、βカロテン当量(2400mcg)、カルシウム(140mg)、ビタミンK(250mcg)、食物繊維総量(4.3g)、葉酸(190mcg)、ビタミンC(44mg)
洋種なばな/ゆで:カリウム(210mg)、βカロテン当量(2700mcg)、カルシウム(95mg)、ビタミンK(270mcg)、食物繊維総量(4.1g)、葉酸(240mcg)、ビタミンC(55mg)
期待される効能
高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防、がん予防、風邪予防、便秘予防、骨粗鬆症、貧血予防、冷え症
なばなはβカロテンの含有量が多く、骨の健康維持に欠かせないカルシウムやビタミンKも豊富に含みます。βカロテンは体内で必要な量だけビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を保護したり、活性酸素を除去するなどの働きがあり、免疫力を高めたり、風邪やがん予防などに効果があるといわれています。
また造血作用のある葉酸や、整腸作用のある食物繊維も多く、高血圧予防によいとされるカリウムも多めです。美容によいとされるビタミンCも多く、さまざまな栄養を豊富に含む優れた野菜といえます。
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ナバナの種類(品種)
和種なばな

おもに花茎とつぼみ、葉を利用する「花蕾タイプ」で、基本的に緑色は淡め。昔ながらの在来種のほか、品種改良されたものもあり、15cmほどの長さにそろえて束ねて売られていることも多いです。京都の特産「菜の花漬け」は、在来種「伏見寒咲花菜」の花蕾を漬けたものです。
西洋種なばな

「茎葉タイプ」で、おもに花茎と葉を利用します。全体的に緑色が濃く、和種なばなに比べて苦味が少なめで甘味があるとされています。店頭では品種は明記されませんが「はるの輝」や「菜々みどり」などがあります。また栃木県の特産「かき菜(佐野そだち菜)」や福岡県の「博多な花おいしい菜」もこのタイプです。
アスパラ菜(オータムポエム)

中国野菜の「紅菜苔」と「菜心」から誕生したアブラナ科の野菜。なばなのようにトウ立ちした茎や葉、黄色い花のつぼみを食べます。ほのかにアスパラガスのような風味と甘味があることからこの名前になったそうです。出回り時期は11月から3月頃。お浸しや天ぷら、炒め物、パスタなど幅広く利用できます。品種としては「オータムポエム」や「愛味菜(まなみな)」などがあります。
各地の年間収穫量 なばな
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
出典:農林水産省統計
2022年のなばなの収穫量のうち最も多いのは三重県で、約371トンの収穫量があります。2位は約233トンの収穫量がある東京都、3位は約230トンの収穫量がある新潟県です。
栽培面積・収穫量の推移
出典:農林水産省統計
2022年のなばなの栽培面積は約165ヘクタール。収穫量は約1,360トンで、出荷量は約1,310トンです。