ゆりね ゆり根 百合根 Lily Root Bulb of Lily

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基礎データ DATA

ユリネの概要

ゆり根

ゆり根はその名の通り「百合(ゆり)」の球根(鱗茎:りんけい)です。白い鱗片がいくつも重なっていて、サイズは6~8cmくらい。一見にんにくのような姿ですが、ホクホクとした食感で、やさしい甘味とほろ苦さが特徴です。一般的な家庭料理のほか、料亭やレストランの季節食材としても需要があります。

ゆり根は秋から冬にかけてが旬。主産地は北海道で10月頃から出荷が増え始め、最盛期は12月頃です。とてもデリケートで傷が付くと変色しやすいため、基本的に店頭ではおがくずの中に入った状態で販売されています。

ちなみに、ゆり根を食用としているのは日本や中国など一部の国だけのようです。食用として利用されるのは、コオニユリ(小鬼百合)やオニユリ(鬼百合)、ヤマユリ(山百合)などで、中でも苦味の少ないコオニユリが主流になっています。

ユリネの歴史

ゆりは古くから中国や日本に自生していて、中国では食用のほか、球根を咳止めや滋養強壮などの薬用としても利用していたそうです。

日本では古事記や万葉集などにゆりの花が出てきますが、食用としての記述は見あたりません。平安時代の「本草和名」では「百合」の項目に「和名 由利」と記されていますが、食用していたかどうかは不明です。

江戸時代にはゆり根が食べられていた記録があり、「農業全書」(1697年)では概要と栽培法、食べ方などが紹介され、「菜譜」(1698年)では「巻丹(ひめゆり)」の項目で、「根大なるをほり取りて、煮て食す。味よし」と記されています。

明治時代から栽培面積は広がり、大正時代になると北海道でも本格的に栽培が始まりました。現在ではゆり根のほとんどは北海道で生産されています。

ユリネの選び方(見分け方)

選び方

全体が白くふっくらとしていて、鱗片が大きく張りがあるものを選びましょう。また、重みがあり、実がしまっているものがおすすめです。変色や黒ずみが多いものや傷があるもの、しなびているものは避けましょう。

ただ、ゆり根はおがくずの中に入っていることが多いので、状態がわかりにくいこともあります。

ユリネの保存方法

おがくずの中に入った状態のものは、そのまま冷蔵庫の野菜室へ。おがくずでゆり根が完全に隠れるくらいの状態がベストです。保存状態がよければ1か月ほど日持ちするようですが、なるべく鮮度のよいうちに食べましょう。

ゆり根は乾燥に弱いため、おがくずが乾燥してきたら、霧吹きなどで軽く湿らせます。ただし、ゆり根自体が水にぬれてしまうと傷んでしまうので、ぬらさないように注意してください。もし水にぬれてしまったらできるだけ早く使いきりましょう。

おがくずがない場合はラップに包んで保存します。この場合もできるだけ早く食べたほうがよいでしょう。

量が多くて食べきれない場合は冷凍も可能です。鱗片を1枚ずつばらして、1分ほどかためにゆで、しっかりと水気を切って自然に冷まし、保存用袋に入れて冷凍します。使用するときはそのまま茶碗蒸しや和え物などに調理します。

ユリネの食べ方

蒸し物、和え物、煮物、揚げ物、甘露煮、きんとん、スープなど

ゆり根は鱗片を1枚ずつはがして、蒸したり煮たりして食べるのが一般的です。鱗片をはがしておがくずなどをきれいに水で洗い流し、変色した部分があればカットしておきましょう。

ほろ苦さは、下ゆですることによってやわらぎます。ただし加熱しすぎると崩れてしまうので、下ゆでする際は短時間で(1~2分程度)であげるようにしましょう。ゆでるときに少量の酢をお湯に加えると、きれいな白色に仕上がります。

茶碗蒸しや含め煮、和え物などがポピュラーですが、天ぷらや唐揚げ、炒め物などにしても美味。甘みをいかして甘露煮やきんとんにしたり、下ゆでしたものをミキサーにかけて深みのあるポタージュスープにしてもよいでしょう。

ユリネの栄養と効能

ゆで:カリウム(690mg)、食物繊維総量(6g)、葉酸(92mcg)

期待される効能

高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防、貧血予防、便秘予防

ゆり根はカリウムを豊富に含んでいます。カリウムには利尿作用があり、むくみ改善に役立つほか、ナトリウムの排出を助けて高血圧予防に効果があるとされます。また葉酸は造血をサポートし、食物繊維は腸の働きを整えてくれます。

食物繊維の約半分にあたる3.2gが水溶性食物繊維なのもポイントです。水溶性食物繊維はコレステロールの吸収を抑える作用があるといわれていて、生活習慣病の予防に効果が期待できます。

ユリネの種類(品種)

ゆり根

ゆり根

コオニユリなどの球根を食用としたもの。大きさは6〜8cmくらいで全体が白く、鱗片がいくつも重なっています。味はほんのりと甘味があってホクホクとした食感です。店頭では明記されませんが「白銀」や「月光」などの品種があります。

各地の年間収穫量 ゆり根

円グラフと下表の割合(%)が違うときは?

上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。

下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。

上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。

出典:農林水産省統計

2022年のゆり根の収穫量のうち最も多いのは北海道で、約898トンの収穫量があります。2位は約0トンの収穫量がある山口県、3位は約0トンの収穫量がある広島県です。

栽培面積・収穫量の推移

出典:農林水産省統計

2022年のゆり根の栽培面積は約58ヘクタール。収穫量は約898トンで、出荷量は約889トンです。

野菜写真

ユリネの写真

野菜写真

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