さといも 里芋 Taro
基礎データ DATA
サトイモの旬(出回り時期)
※これはサトイモの出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 青果物卸売市場調査 品目別:主要卸売市場計(2023年)を参考にしています
サトイモの概要
里芋は中心に親芋ができ、そのまわりに子芋、さらに孫芋、ひ孫芋と1つの種芋からたくさんのいもができます。スーパーなどで売られている里芋はおもに子芋と孫芋ですが、種類によって親芋だけを食べるもの、親芋も子芋も食べられるものなどいろいろあります。親、子、孫と続くことから子孫繁栄の縁起物としてお正月料理にも使われます。
里芋は貯蔵性がよく1年中出回っていますが、秋から冬にかけてが旬です。また里芋といえば一般的に「土垂(どだれ)」を指しますが、冬になるとゴツゴツとした大きな「八ツ頭」や、エビのように曲がった「海老芋」なども店頭に並びます。
ちなみに「タロイモ」という呼び名も耳にしますが、タロイモとは、食用として栽培されているサトイモ属の芋類の総称です。そのため里芋や海老芋などもタロイモの一種ということになります。
サトイモの歴史
里芋はインド東部からマレーシアにかけての東南アジアが原産地だといわれています。紀元前2500年頃には海を越えて各地に広がり、日本へも縄文時代には伝わっていたと考えられています。
平安時代の辞典「和名抄(わみょうしょう)」には里芋が葉柄とともに食用になることが記されていて、「延喜式(えんぎしき)」という法典には栽培方法も記載されています。万葉集の歌にも詠まれるなど、古くから食べられていたことがうかがえます。
江戸時代までは「いも」といえば里芋のことでしたが、さつまいもやじゃがいもなど海外から新しいいも類が伝わったことで、いもは必ずしも里芋を指す言葉ではなくなってしまいました。
サトイモの選び方(見分け方)
ふっくらと丸みがあって変色や傷がなく、泥付きのものが良品です。皮は乾いているものよりも湿り気があるほうが新鮮です。お尻の部分がやわらかいものは傷んでいたり、鮮度が落ちている可能性があるので注意しましょう。また皮にひび割れがあるものは風味が落ちていることがあります。
サトイモの保存方法
里芋は低温と乾燥に弱いので、新聞紙に包んで冷暗所で保存します(泥付きならば泥付きのまま)。新聞紙で包んだものを発泡スチロールの箱や段ボール箱などに入れておいてもよいでしょう。その際、新聞紙を軽く湿らせておくと乾燥を防げます。夏場は泥を洗って水気を拭き、新聞紙で包んで冷蔵庫の野菜室に入れ、できるだけ早く使い切りましょう。
里芋の保存は10度前後くらいが適温といわれ、温度が低すぎると低温障害が起きるおそれがあります。
長期保存したければ、ゆでてから冷凍しましょう。皮をむいて少しかために加熱し、冷めたら水気をしっかりふきます。里芋に水分がついていると、冷凍したときに芋同士がくっついてしまうので気をつけてください。
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サトイモの食べ方
煮物、揚げ物、汁物、コロッケ、衣かつぎなど
皮をむくときは頭とお尻を5mmほどカットして、残った皮を縦にむいていくと楽にむけます。その際、丸みを残しつつ全体が六角形になるようにすると「六方むき」になります。
皮をむくのが面倒なら、里芋をラップで包んで電子レンジで加熱すると簡単に手でむけます。
小さい里芋はよく洗って皮付きのまま蒸して(またはゆでて)「衣かつぎ」にすると手間がかかりません。蒸すときに頭の部分を少しカットしておくと、食べるときにツルリと皮がむけておいしく食べられます。
なお煮物にする場合は、ぬめりが強いと味が染みにくく煮汁も濁り、吹きこぼれしやすくなります。それを防止するには、ゆで汁に塩を1%ほど入れるか、皮をむいたあとに塩もみをする、または一度ゆでこぼしてお水からゆでるなどの方法があります。
サトイモの栄養と効能
水煮:カリウム(560mg)、食物繊維総量(2.4g)
注目成分
ガラクタン、マンナン
期待される効能
便秘改善、高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防
里芋のぬめりは「ガラクタン」や「マンナン」という成分によるものです。ガラクタンは免疫力を高めたり、血中のコレステロールの抑制、便通をよくする働きがあるとされます。マンナンも便秘予防や糖尿病予防などに効果があるといわれています。
また里芋には体内の余分なナトリウムを排出して血圧の上昇を抑えるとされるカリウムも豊富で、造血作用のある葉酸や肌荒れによいとされるビタミンB6も含まれています。
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サトイモの種類(品種)
土垂(どだれ)
里芋の代表品種で、子芋と孫芋を利用します。楕円形で肉質はやわらかくねっとりとした食感で、煮崩れしにくいので煮物に最適。おもに関東地方で栽培されていて、貯蔵性が高く周年出回ります。土垂の優良系統を選抜したものも各地で作られていて、新品種「ちば丸」は丸形でぬめりが少なく皮がむきやすいのが特徴です。
石川早生
8月頃から収穫される子芋用の極早生種。「土垂」よりも小さくコロッと丸い形をしていて、やわらかく粘りがあります。煮物のほか、皮付きのまま蒸して皮をむいて食べる「きぬかつぎ」にもよく利用されます。大阪府の南河内郡石川村(現河南町)が発祥地なので、この名前が付いたといわれます。
京いも
親芋だけを食べる品種で、名前のイメージとは違い主産地は宮崎県です。長さ20〜40cmほどの円筒形をしていて、見た目が竹の子に似ていることから「たけのこいも(筍芋)」とも呼ばれます。ぬめりが少ないため皮がむきやすく、ホクホクとした食感で煮物向き。11〜3月頃に出回ります。
海老芋(えびいも)
えびのように曲がった里芋。親子兼用品種の「唐芋(とうのいも)」を何度も土寄せして栽培することでこのような形になります。粘りのある粉質でねっとり感とホクホク感が味わえます。子芋は200〜300gくらいで料亭でも使われるため価格がやや高めですが、孫芋は約50gとサイズが小さく比較的お手頃です。茎は赤褐色で「ずいき」として食べられます。京都の伝統野菜の1つとしても知られていますが、生産量は静岡県がトップです。
八つ頭(やつがしら)
親芋と子芋が結合して1つのかたまりになった里芋。親芋の周りにくっついている子芋が8つの頭に見えるためこの名前になりました。粉質でホクホクとして食感がよく、ほんのり甘味もあります。サイズは400〜600gくらいで、縁起物としておせち料理にも使われます。収穫時期は10月〜12月頃。
セレベス
別名「赤芽大吉」といい、インドネシアのセレベス島(現在のスラウェシ島)から導入した里芋です。親芋、子芋とも食べられる品種で、皮肌がほんのり赤味がかっています。ぬめりは少なくホクホクとしていて煮物やコロッケなどに最適。大きさは親芋がソフトボールほどで、子芋は土垂と同じくらいです。11~12月頃がシーズン。
はすいも
葉柄(葉を茎と繋いでいる部分)のみを食用とする専用種で「芋」は食べません。葉柄は緑色で中はスポンジのように空洞があり、軽くてシャキシャキとした独特の食感があります。調理する際は皮をむいて水にさらし、酢の物にしたり炒めたり煮物などにします。はすいも自体は味がないので調理次第でいろいろな味が楽しめます。「青ずいき」とも呼ばれ、主産地は高知県です。
芋茎(ずいき)
里芋類の茎(葉柄)の部分を食用としたもので、赤色の「赤ずいき」と軟白栽培の白い「白ずいき(白だつ)」、緑色の「青ずいき(はすいも)」があります。茎の中はスポンジ状になっていて、煮物や和え物などにして食べるのが一般的。ただ、そのままではアクがあるのでアク抜きしてから使います。また、ずいきを乾燥させたものは「いもがら」と呼ばれ、お湯で戻してから使います。
各地の年間収穫量 さといも
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
出典:農林水産省統計
2022年のさといもの収穫量のうち最も多いのは埼玉県で、約1万7,900トンの収穫量があります。2位は約1万3,600トンの収穫量がある宮崎県、3位は約1万3,200トンの収穫量がある千葉県です。
栽培面積・収穫量の推移
出典:農林水産省統計
2022年のさといもの栽培面積は約1万100ヘクタール。収穫量は約13万8,700トンで、出荷量は約9万4,300トンです。
主要生産国(上位5か国)
出典:FAOSTAT(2021年)
タロイモ(サトイモ)生産の上位5か国は、ナイジェリア、中国、カメルーン、ガーナ、エチオピアです。1位のナイジェリアの生産量は年間約820万トンで全体の約46%を占めています。2位の中国は年間約190万6,450トンで全体の約11%、3位のカメルーンは年間約189万2,428トンで全体の約11%です。
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