えのきたけ 榎茸 Enokitake
基礎データ DATA
エノキタケの旬(出回り時期)
※これはエノキタケの出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 青果物卸売市場調査 品目別:主要卸売市場計(2023年)を参考にしています
エノキタケの概要
えのきたけは本来、エノキ(榎)やコナラ(小楢)などの広葉樹の根元に生えるきのこで、野生のものは褐色でカサが大きく、柄も短めです。店頭で見かけるえのきたけは、ひょろりと細長く乳白色をしていますが、これは菌床栽培されたもの。最近は、野生種を掛け合わせた茶色いえのきたけも売られています。
サッと加熱するとシャキシャキとした歯ごたえが楽しめ、じっくり煮るとトロリとした食感になり、鍋物や炒め物、和え物などいろいろな料理に活躍します。
エノキタケの歴史
えのきたけはアジアからヨーロッパ、アフリカなど広い地域に分布しています。日本にも自生していて古くから食用とされていました。しかし江戸時代までは栽培の技術がなく、天然のものが食されていたようです。
明治時代になると原木による栽培が行われるようになり、昭和初期には現在のようなえのきたけが誕生。おがくずを使った菌床栽培を暗室で行うことで、白くて長いえのきたけができました。一般に普及したのは1960年代になってからです。
エノキタケの保存方法
パックされた状態のものはそのまま冷蔵庫の野菜室へ。全部使わないときは、使う分だけ根元から裂いて、残りはラップで包んで冷蔵保存します。ただし日持ちしないので2~3日で使い切りましょう。
えのきたけは冷凍も可能です。根元を切り落とし、小分けして冷凍しておけば必要な分だけ取り出せて便利。調理するときはそのまま使えます。
エノキタケの食べ方
炒め物、鍋物、煮物、和え物、お浸し、揚げ物、パスタ、汁物、なめたけなど
えのきたけは水洗いする必要はありません。おがくずなどが気になるようならサッと流す程度でよいでしょう。根元を2~3cmほどカットして、手で裂いて使用します。
えのきたけは火の通りが早く、加熱するとぬめりが出てきます。しょうゆや砂糖などで煮付けた「なめたけ」は、このぬめりを活かした加工品です。
エノキタケの栄養と効能
ゆで:カリウム(270mg)、食物繊維総量(4.5g)、ナイアシン(3.7mg)、ビタミンB1(0.19mg)
注目成分
エルゴステロール、βグルカン
期待される効能
高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防、便秘予防、冷え症、風邪予防、ストレス緩和、疲労回復
エノキタケには「エルゴステロール」や「βグルカン」という成分が含まれています。エルゴステロールは光に当たることでビタミンDに変わり、カルシウムの吸収をよくする働きがあるといわれます。またβグルカンは免疫力アップに作用するといわれています。
血圧の上昇を抑制する働きがあるといわれるカリウムや、整腸作用のある食物繊維も多く含まれています。
栄養成分表を見る
エノキタケの種類(品種)
えのきたけ
店頭で見かけるえのきたけは菌床栽培されたもので、全体が乳白色で柄が細長く、カサが小さくてつるんとしています。直径6〜8cmくらいの束で売られていていることが多く、クセのない味でシャキッとした歯ごたえが特徴。もともとは暗室で栽培することで白くしていましたが、現在は光に当てても白く育つ品種も使われています。
えのきたけ(茶色)
カサが茶色で柄がベージュ色や薄茶色のえのきたけ。栽培用の白い品種に野生種を掛け合わせて作られました。歯ごたえがよく天然のえのきたけに似た風味があります。「ブラウンえのき」や「味えのき」などの名前で販売されています。
各地の年間収穫量 えのきたけ
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
出典:農林水産省統計
2022年のえのきたけの収穫量のうち最も多いのは長野県で、約7万4,853トンの収穫量があります。2位は約1万9,005トンの収穫量がある新潟県、3位は約5,542トンの収穫量がある福岡県です。
栽培面積・収穫量の推移
出典:農林水産省統計
2022年のえのきたけの収穫量は約12万6,321トンです。なお、上記グラフでは「収穫量」となっていますが、農林水産省の表記では「生産量」となっています。