ビーツ テーブルビート 火焔菜 Table Beet
基礎データ DATA
- 分類:ヒユ科フダンソウ属
- 原産地:地中海沿岸
- 季節の分類:秋
- 多く出回る時期:6月~7月頃、11月頃
ビーツの概要
赤紫色をしたビーツは、ほうれん草やふだん草と同じ「ヒユ科」の野菜です。「テーブルビート」や「カエンサイ(火焔菜)」「食用ビート」「ビート」などとも呼ばれ、砂糖の原料になる「てんさい(砂糖大根)」の仲間になります。カブのような形をしていますが、カブはアブラナ科なので仲間ではありません。
ビーツは皮だけでなく果肉も鮮やかな赤紫色をしていて、断面が年輪のように同心円状になっているのが特徴です。食用するのは丸く肥大した根(胚軸)の部分で、煮込み料理やサラダ、酢漬けなどに利用します。
特有の甘みと香りがあり、加熱するとカブのようなやわらかな食感が楽しめます。ロシア料理の「ボルシチ」にも利用されるなど、欧米では一般的な野菜です。
ビーツの歴史
ビーツは地中海沿岸が原産で、古くから利用されていたといわれています。当初は葉を食用としていましたが、のちに根が丸く肥大した品種が誕生。18世紀には砂糖を作ることに成功したそうです。
日本に渡来した時期はよくわかっていませんが、江戸時代に書かれた「大和本草」(1709年)では、「暹羅大根(シヤムロダイコン)」として紹介されています。そこには「葉大に根紅に内に赤白の暈紋あり。(中略)味甘し」と、現在のビーツに似た特徴が記されています。当時は地域によって「隠元菜」「渦大根」「錦大根」などいくつかの呼び名があったようです。ちなみに「暹羅(シヤムロ)」とは、タイ王国(Siam)を意味します。
ビーツの保存方法
新聞紙などで包んで冷暗所または冷蔵庫の野菜室で保存します。保存の目安は1週間~10日くらい。乾燥が気になる場合はポリ袋に入れておくとよいでしょう。葉はその日のうちに切り取り、すぐにゆでるなどして調理します。
ビーツの食べ方
煮込み、サラダ、酢漬け、スープ、バター炒めなど
ビーツはそのままではかたいので、下ゆでするのが一般的です。皮付きのまま丸ごと鍋に入れて30分ほどゆで、竹串がスッと通るほどのやわらかさになったら皮をむいて調理します。ゆでるときは色がきれいに残るようお湯に酢を少し加えるのがポイント。また下ゆでする代わりに、アルミホイルで包んでオーブンで40分ほど焼いてもよいでしょう。ホクホクとした食感になります。
下ゆでしたら皮をむいてカットし、ボルシチやシチューなどの煮込み料理、サラダ、炒め物などに調理します。ミキサーにかけてピンク色のスープにしてもきれいです。酢漬けやサラダなどの場合は、歯ごたえを残すため少しかためにゆでておくとよいでしょう。好みによっては生のまま薄くスライスしてもOKです。
また、葉付きの場合は葉も食べましょう。お浸しや炒め物、パスタなどほうれん草のように利用できます。
なお、ビーツの色素は服に付くと落ちにくいので、汁などが飛ばないよう気を付けてください。
ビーツの栄養と効能
ゆで:カリウム(420mg)、葉酸(110mcg)
注目成分
ベタシアニン
期待される効能
高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防、貧血予防
ビーツにはカリウムや葉酸が多く含まれています。カリウムは余分なナトリウムを排出させる働きがあり、高血圧予防に効果が期待できます。また葉酸は造血作用があるので貧血予防によいとされます。
ビーツの赤い色はポリフェノールの一種ベタシアニンという成分によるもので、抗酸化作用があるといわれています。
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ビーツの種類(品種)
ビーツ
見た目や大きさがカブに似ていますが、皮も果肉も赤くてカブよりもかため。特有の甘味と風味を持ち、果肉はサラダやスープ、煮込み料理などに利用されます。ヨーロッパではほかにも酢漬けや塩漬けにするなど広く活用されています。葉もお浸しなどにして食べられるので、日本の大根やカブのような食材といえるでしょう。