ほうれん草 菠薐草 Spinach

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基礎データ DATA

ホウレンソウの旬(出回り時期)

※これはホウレンソウの出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 青果物卸売市場調査 品目別:主要卸売市場計(2023年)を参考にしています

ホウレンソウの概要

ほうれん草(成長途中)

ほうれん草には「東洋種」と「西洋種」があります。東洋種は、葉の切れ込みが深くやわらかくて甘味があるのが特徴で、西洋種は、葉が丸くて厚みがあり病害虫に強いのが特徴です。現在一般的に出回っているのは、この2つを掛け合わせた「交配種」というもの。それぞれの長所を合わせ持った品種です。

ほうれん草の本来の旬は11月~3月頃の寒い時期で、この時期に収穫されたものは糖度や栄養価が高くなります。とはいえ周年出回っているので、食べたいときにおいしく食べましょう。

ホウレンソウの歴史

ほうれん草(成長途中)

ほうれん草の起源はアフガニスタンやトルコ、イランなどの西アジア地域といわれ、そこから東西に分かれて広まりました。中国方面に伝わったものは「東洋種」で、ヨーロッパへ渡ったものは「西洋種」となり、それぞれ環境の違いにより形や風味が少しずつ変化していきました。

西洋種は11世紀頃にスペインで栽培が行われていたといわれ、16世紀にはヨーロッパ中に広まったと考えられています。東洋種は7世紀頃に中国へ伝わり、日本へは16世紀頃に中国から伝来。林羅山の「新刊多識編」(1631年)には「菠薐」「菠菜」「赤根菜」とほうれん草のことが記されています。

明治時代には欧米から西洋種も導入されましたが、西洋種はアクが強く土臭いことからあまり好まれませんでした。ほうれん草が現在のように注目されるようになったのは昭和になってからのこと。第二次世界大戦後にはアニメ「ポパイ」の影響もあり、品種改良も進んだことで栄養価の高い野菜として消費が急増しました。

ホウレンソウの選び方(見分け方)

選び方

葉先までピンと張りがあり、厚みがあって濃い緑色のもの。また根元が赤くてふっくらとしていて、茎(葉柄)が細すぎないものを選びましょう。葉色が濃いものほど栄養価が高いといわれています。当たり前ですが、しおれているものは鮮度や保存状態がよくないので避けましょう。

ホウレンソウの保存方法

乾燥防止のため新聞紙などで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。その際、新聞紙を軽く湿らせておくと少し持ちがよくなります。2~3日を目安に使い切りましょう。

食べきれないときは、軽くゆでてから冷凍保存しておくと便利です。冷凍する場合は、ゆでた後に水気をよく切り、小分けしてラップに包んで冷凍庫へ。

ホウレンソウの食べ方

お浸し、和え物、炒め物、オーブン料理、パスタ、サラダなど

ほうれん草にはアクの成分となるシュウ酸が含まれています。これがえぐみの原因となりますが、シュウ酸は水溶性なので、たっぷりの熱湯で短時間ゆでて、水につけて一気に冷やすと減少します。

お浸しや和え物はゆでてから食べるので大丈夫ですが、ソテーやパスタなどの場合、生のまま炒めるとアクが残ったままになります。そのため、炒める調理のときも、あらかじめ軽く下ゆでしておくとよいでしょう。シュウ酸が抜けてまろやかな風味になります。ただしゆですぎたり、水にさらしすぎると栄養が流れ出てしまうので要注意です。

なお、サラダ用ほうれん草はシュウ酸が少なくやわらかいので、生のままでも食べられます。

ホウレンソウの栄養と効能

ゆで:βカロテン当量(5400mcg)、カリウム(490mg)、ビタミンC(19mg)、鉄(0.9 mg)、カルシウム(69mg)、葉酸(110mcg)、ビタミンK(320mcg)

期待される効能

風邪予防、貧血予防、がん予防、高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防

貧血予防に効果のある鉄や、造血作用のある葉酸を多く含んでいます。また風邪予防によいとされるビタミンC、骨の形成に有効なカルシウム、高血圧予防に作用するカリウムなどもバランスよく含みます。

抗酸化作用のあるβカロテンも豊富で免疫力アップや眼精疲労、がん予防などにも効果が期待できます。

骨にカルシウムを沈着させる働きがあるビタミンKも比較的多く含むので、骨や歯の形成に効果があるといわれています。

ホウレンソウの種類(品種)

交配種(中間種)

交配種(中間種)

現在、市場に出回っているのはほとんどがこの交配種(中間種)のタイプです。「東洋種」と「西洋種」を掛け合わせた「一代雑種」で、栽培しやすく、えぐみも少なくて食べやすいのが特徴。おひたしや炒め物、シチューやグラタンなどさまざまな料理に幅広く使えます。品種によって葉に丸み具合や切れ込みの度合いは異なります。

東洋種

東洋種

アジア地域に根付いたもので、一般的に葉の切れ込みが深くて葉肉が薄く、根元が赤くなるのが特徴。日本在来種としては「禹城(うじょう・中国名:東湖)」が有名です。なお在来種と西洋種から誕生した固定種のことを「日本種ほうれん草」と呼ぶこともあり、これらには「次郎丸」や「豊葉(ほうよう)」などがあります。

西洋種

西洋種

欧米で普及し改良された品種で、葉の切れ込みが浅めであまりギザギザしておらず、丸みのある形をしています(品種によってはギザギザしているものもあります)。葉肉は厚めで根元の赤色は薄めですが、アクが強くやや土臭いという特性があります。バター炒めなどソテーやオーブン料理におすすめです。品種には「ミンスターランド」や「ノーベル」などがあります。

サラダほうれん草

サラダほうれん草

甘味が強く生で食べられるように改良されたやわらかい食感のほうれん草。多くは水耕栽培で作られていて、茎が細く葉の色は薄めです。アクが少ないので水洗いしただけで食べられます。もちろん生だけでなくおひたしや炒め物にしてもおいしく食べられます。

ちぢみほうれん草

ちぢみほうれん草

冬に栽培されたほうれん草で、表面に縮れたようなシワが入っています。寒気にあてて生育させる「寒じめ」という栽培法を行うことで、葉が厚くなり縮まって甘味が強くなります。品種には「朝霧」や「雪美菜」などがあり、出回るのは冬の12月〜2月頃です。

各地の年間収穫量 ほうれん草

円グラフと下表の割合(%)が違うときは?

上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。

下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。

上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。

出典:農林水産省統計

2022年のほうれん草の収穫量のうち最も多いのは群馬県で、約2万2,300トンの収穫量があります。2位は約2万1,800トンの収穫量がある埼玉県、3位は約2万700トンの収穫量がある千葉県です。

栽培面積・収穫量の推移

出典:農林水産省統計

2022年のほうれん草の栽培面積は約1万8,900ヘクタール。収穫量は約20万9,800トンで、出荷量は約17万9,000トンです。

主要生産国(上位5か国)

出典:FAOSTAT(2021年)

ほうれん草生産の上位5か国は、中国、アメリカ、トルコ、日本、インドネシアです。1位の中国の生産量は年間約3,065万1,759トンで全体の約93%を占めています。2位のアメリカは年間約38万2,356トンで全体の約1%、3位のトルコは年間約23万71トンで全体の約1%です。

野菜写真

ホウレンソウの写真

野菜写真

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