れんこん 蓮根 Lotus root
基礎データ DATA
レンコンの旬(出回り時期)
※これはレンコンの出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 青果物卸売市場調査 品目別:主要卸売市場計(2023年)を参考にしています
レンコンの概要
独特の食感を持つレンコンは、煮物や天ぷらにするとおいしい食材です。お正月やお祝いの席でよく使われるのは、「見通しがきく」として昔から縁起物とされているから。レンコンは周年出回っていますが、旬は秋から冬にかけてです。また新レンコンは7月~9月上旬頃が旬です。
レンコンは「蓮根」と書きますが、実際は蓮(はす)の根ではなく、地下茎(ちかけい)という茎がふくらんだものです。地下茎とは土の中に伸びる茎のことで、ジャガイモも地下茎が肥大したものです。蓮の地下茎は水底の泥の中で肥大化し、それがいくつかの節でつながっています。蓮には観賞用と食用があり、観賞用のものは食用に向きません。
ちなみに「蓮」と「睡蓮(すいれん)」は花や葉の形がよく似ていますが、睡蓮にはレンコンはできません。また葉の形をよく見ると、蓮の葉が丸いのに対し、睡蓮の葉には大きな切れ込みがあります。さらに蓮の葉は水面から出ていて、睡蓮は水に浮いているという見分け方もあります(例外もあります)。
レンコンの歴史
蓮の原産地は中国、エジプト、インドと諸説あり、かなり古くからあったようです。日本でも弥生時代にはすでに存在したとされています。それを裏付けているのが「大賀ハス」や「行田ハス(古代ハス)」です。
大賀ハスは1951年(昭和26年)に千葉市検見川の遺跡から出土したもので、植物学者の大賀氏によって2000年以上前の種子から発芽・開花しました。また行田ハスは1973年(昭和48年)に埼玉県行田市で見つかったもので、1400年~2000年前とされる種子から花を咲かせました。
長い間、蓮は観賞用でしたが、平安時代には食用とされていたようです。ただし、現在広く出回っているレンコンは、明治時代に中国から導入した品種を改良したものです。古くから根付いている「在来種」もごくわずかにありますが、こちらは鎌倉時代や江戸時代に僧が中国から持ち帰った食用の蓮が土着し、その一部が在来種になったと推測されています。
レンコンの選び方(見分け方)
ふっくらと丸みがあって太く、皮にツヤがあり褐色~黄色の自然な色味のもの選びましょう。穴が小さくサイズがそろっていて肉厚なものが良品とされます。切り口が変色していたり、穴の内側が黒ずんでいるものは鮮度が落ちているので避けましょう。
レンコンの保存方法
カットしたものはラップで包んで冷蔵庫の野菜室で保存します。両端に節がついているものは軽く湿らせた新聞紙で包んでポリ袋に入れるとよいでしょう。4~5日程度は持ちますが、カットしたものは2~3日を目安に。また7~9月頃の新レンコンは傷みやすいので、こちらも早めに使用しましょう。
適当な幅にカットして、かためにゆでたものを冷凍すれば1か月くらいは持ちます。水気があるとくっついてしまうので、しっかり水気をふき取ってからラップで包みましょう。
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レンコンの食べ方
煮物、揚げ物、炒め物、酢の物など
レンコンが黒っぽく変色するのは、ポリフェノールの一種である「タンニン」によるものです。変色によって味が落ちるわけではありませんが、変色を防ぎたければ、カットしたそばから酢水につけていきましょう。さらに白く仕上げたいなら、ゆでる際にも酢を少し加えるとよいでしょう。
シャキシャキ感を残したいなら加熱時間は短めに。逆にしっかり火を通すとホクホクとした食感になります。レンコンの皮をむくときは、スジに沿ってむくとスッとむけます。
レンコンはいくつもの節がつながっていますが、基本的に芽に近い端っこの「第一節」が一番やわらかく、第二、第三と芽から遠くなるにつれて繊維が増えてかたさが増します。第一節は「芽バス」とも呼ばれ、サラダや酢の物などに最適です。
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レンコンの栄養と効能
ゆで:カリウム(240mg)、食物繊維総量(2.3g)
注目成分
タンニン
期待される効能
高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防、胃もたれ、便秘予防
レンコンのぬめり成分には胃腸の粘膜を保護する作用があるといわれています。また変色の原因となる「タンニン」はポリフェノールの一種で抗酸化作用があり、炎症を抑えたり血圧を下げる働きがあるといわれています。
ほかにも高血圧予防によいとされるカリウムや、便秘予防に効果的な食物繊維も含まれています。
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レンコンの種類(品種)
中国種群
明治時代初期に中国から導入した品種を改良したもので、現在流通しているレンコンの多くがこの分類に入ります。比較的多く栽培されているのは、ふっくらと丸い「金澄(かなすみ)」系や「だるま」系の品種です。金澄は中国種群と在来種群のレンコンを交配して誕生した「金澄1号」から「金澄37号」まであり、中でも「金澄20号」が多く普及しています。また徳島県や愛知県で多く栽培されている節間が細長い「備中種」や、石川県や山口県が主産地の「支那白花」などもあります。石川県産のものは「加賀れんこん」、山口県産のものは「岩国れんこん」とも呼ばれます。
在来種群
江戸時代以前に日本に伝わり各地で根付いたものが在来種群として分類されています。中国種に比べると細長く少し茶色がかった色をしていて、肉質は粘質でやわらかく味がよいとされています。しかし根が深くて生産量が少ないため、あまり流通はしていません。品種としては「天王」などがあります。
在来種群の関連リンク
各地の年間収穫量 れんこん
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
出典:農林水産省統計
2022年のれんこんの収穫量のうち最も多いのは茨城県で、約2万8,200トンの収穫量があります。2位は約7,330トンの収穫量がある佐賀県、3位は約4,950トンの収穫量がある徳島県です。
栽培面積・収穫量の推移
出典:農林水産省統計
2022年のれんこんの栽培面積は約4,020ヘクタール。収穫量は約5万6,200トンで、出荷量は約4万7,300トンです。
主要生産国(上位5か国)
出典:FAOSTAT(2021年)
その他芋類(レンコン含む)生産の上位5か国は、ラオス、コンゴ民主共和国、パキスタン、インドネシア、ナミビアです。1位のラオスの生産量は年間約403万1,591トンで全体の約45%を占めています。2位のコンゴ民主共和国は年間約91万3,628トンで全体の約10%、3位のパキスタンは年間約52万8,466トンで全体の約6%です。
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