らっきょう 辣韮 Rakkyo
基礎データ DATA
ラッキョウの概要
甘酢漬けやしょうゆ漬けなどにするとおいしいらっきょう。旬は初夏で、特有の香りと辛さ、そしてパリッとした食感が持ち味です。
らっきょうを軟白栽培して若採りしたものは「エシャレット」の名前で流通しています。「エシャロット」と表記されることもありますが、正しくはエシャレット。らっきょうと比べ風味がマイルドでそのまま食べられます。
なお、エシャロットという野菜は別に存在し、玉ねぎのような形をしています。両者を区別するため、玉ねぎ型のものは「ベルギーエシャロット」や「シャロット」と表記されることが多いのです。消費者にとってはややこしい話ですね。
エシャロットについては「エシャロット」のページをご覧ください。
ラッキョウの歴史
らっきょうの原産地は中国のヒマラヤ地方とされ、中国では紀元前から栽培が行われ薬用として使われていたといわれています。日本に伝わったのは9世紀頃で、 平安時代の「新撰字鏡」や「本草和名」では「薤」という名で、「延喜式(えんぎしき)」では「薤白」の名で登場しています。当初は薬用として利用していましたが、江戸時代に入ると食用としても用いられるようになり、広く栽培されるようになりました。
エシャレットは昭和30年頃に静岡県で商品化されたのが始まりです。土寄せして軟白栽培したらっきょうを若採りすると生でもおいしく食べられることがわかり、「エシャレット」の名で販売することにしたのです。このエシャレットという名前は、西洋野菜の「エシャロット」に似ていることが由来だそうですが、本物のエシャロットが流通するようになり、少なからず混乱が生じているのが現状です。
ラッキョウの選び方(見分け方)
らっきょうは白くふっくらとしていて、傷のないものが良品です。芽が伸びているものは収穫から時間が経過しているので避けます。また緑がかったものはかたいことがあるので、こちらも避けましょう。泥は付いているほうがベターです。
エシャロットや島らっきょうは葉が枯れておらず、白い鱗茎がみずみずしくツヤのあるものを選びましょう。
ラッキョウの保存方法
らっきょうは芽が出るのが早く保存に向きません。どうしても保存する場合は新聞紙などに包んでポリ袋に入れて冷蔵庫へ。翌日には下処理してください。
ラッキョウの食べ方
甘酢漬け、しょうゆ漬け、味噌漬け、砂糖漬けなど
らっきょうは日持ちしないのですぐに下処理しましょう。水洗いして芽と根をカットして皮をむき、お好みの漬け方で漬けます。
エシャレットや島らっきょうも漬け物にできますが、生のまま味噌やしょうゆ、マヨネーズなどをつけて食べると手軽なおつまみになります。和え物や天ぷらなどもおすすめ。葉もやわらかければ炒めるなどして食べられます。
ラッキョウの栄養と効能
らっきょう/生:カリウム(230mg)、食物繊維総量(21g)
エシャレット/生:カリウム(290mg)、食物繊維総量(11.4g)
注目成分
アリシン
期待される効能
高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防、便秘予防、疲労回復、冷え症
らっきょうやエシャレットには、便秘の予防に役立つ食物繊維が豊富に含まれています。いずれも水溶性食物繊維が多く、らっきょうは18.6g、エシャレットは9.1gもあります。水溶性食物繊維はコレステロールの吸収を抑制したり血糖値の上昇を抑える働きがあるといわれるので生活習慣病の予防に効果が期待できます。
また特有の香りは玉ねぎにも含まれる硫化アリルの一種「アリシン」によるものです。アリシンは血行促進や疲労回復、免疫力アップなどの作用があるといわれています。高血圧予防によいとされるカリウムも多めです。
栄養成分表を見る
ラッキョウの種類(品種)
らっきょう
漬け物用のらっきょうで「らくだ」という大玉の品種が主流。ほかに中サイズの「八房(やつぶさ)」や、台湾から導入した「玉らっきょう」などがあります。特有のピリッとした辛味と強い香りがあり、パリパリとした歯触りが楽しめます。旬は短くて5〜6月。
エシャレット
生食用に軟白栽培された若いらっきょう。葉付きの状態で売られていることが多く、炒め物や天ぷらなどのほか、生のまま白い根元と茎に味噌やしょうゆをつけて食べます。一般的ならっきょうよりも風味がおだやかで、さわやかな辛味と香りが楽しめます。5~8月頃がシーズン。
島らっきょう
おもに沖縄県で栽培されているらっきょう。辛味が強く、香りも強め。葉と根を切って薄皮をむいて水洗いし、塩もみしたものにかつお節としょうゆをかけたり、味噌を付けるなどして食べます。炒め物や天ぷら、漬け物などにしてもおいしく、葉も炒め物などにして食べられます。
各地の年間収穫量 らっきょう
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
出典:農林水産省統計
2022年のらっきょうの収穫量のうち最も多いのは鳥取県で、約2,300トンの収穫量があります。2位は約2,220トンの収穫量がある鹿児島県、3位は約720トンの収穫量がある宮崎県です。
栽培面積・収穫量の推移
出典:農林水産省統計
2022年のらっきょうの栽培面積は約504ヘクタール。収穫量は約6,700トンで、出荷量は約6,080トンです。