しゅんぎく 春菊 Garland chrysanthemum
基礎データ DATA
シュンギクの旬(出回り時期)
※これはシュンギクの出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 青果物卸売市場調査 品目別:主要卸売市場計(2023年)を参考にしています
シュンギクの概要
葉のギザギザが特徴的な春菊は、鍋物やお浸しなどにするとおいしいキク科の野菜です。特有の香りと風味を持ち、春になると菊に似た花が咲くことからこの名前がついたといわれています。関西では「菊菜(きくな)」とも呼ばれます。
春菊は葉の切れ込み具合によって種類が分かれます。切れ込みの浅い春菊は「大葉種」で、切れ込みの深いものは「中葉種」、葉が細めで切れ込みが深いものは「小葉種」になります。大葉種は中国地方や九州などで多く栽培されていて、中葉種は東日本に多く見られます。小葉種は現在あまり栽培されていません。
シュンギクの歴史
春菊の原産地はトルコやギリシャなどの地中海沿岸といわれています。ただ欧米では観賞用として用いられ、野菜として最初に利用したのは中国だそうです。現在でも食用としているのは日本や中国、東南アジアなど一部の地域だけのようです。
日本に渡来した時期は定かではありませんが、文献で春菊が登場するのは、15世紀後半の「尺素往来(せきそおうらい)」です。これには菫菜(スミレ)、躑躅(ツツジ)、春蘭(シュンラン)、杜若(カキツバタ)などとともに春菊が登場しますが、これは「野春菊」の深山嫁菜(ミヤマヨメナ)ではないかと指摘されています。別の文献では、「お湯殿の上の日記(1563年)」に春菊の別名である「高麗菊」(こうらいきく)と「しゆんきく」の2つの名前が記されています。どちらか一方(または両方)は春菊ではないかと考えられています。
いずれにしても春菊は室町時代までには伝わっていたとされ、江戸時代の農書「農業全書」や「菜譜」には栽培方法が記載されています。
シュンギクの選び方(見分け方)
葉がピンとしていて張りがあり、緑色が濃くて茎の下のほうまで葉がたくさんついているものが良品とされます(品種によっては茎の下のほうには葉がつかないものもあります)。茎は細めで短いほうが口当たりはソフトです。葉が黄色くなっていたり枯れているものは避けましょう。
シュンギクの保存方法
新聞紙などで包んでポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。その際、新聞紙は軽く湿らせておき、できるだけ立てるようにしましょう。使い切る目安は2~3日程度です。
どうしても使い切れないときは、固ゆでして冷凍するという方法もあります。冷凍した場合は1か月以内に使い切りましょう。
シュンギクの食べ方
鍋物、お浸し、サラダ、天ぷらなど
春菊はアクが少ないので、下ゆでせずにお浸しや鍋物に使えます。サラダ用の春菊は生のままでもおいしいですが、一般的な春菊を生で食べるならやわらかい葉先だけを使うとよいでしょう。
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シュンギクの栄養と効能
ゆで:カリウム(270mg)、βカロテン当量(5300mcg)、食物繊維総量(3.7g)、ビタミンK(460 mcg)、葉酸(100mcg)、鉄(1.2mg)、カルシウム(120 mg)
注目成分
リモネン
期待される効能
風邪予防、がん予防、高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防、、貧血予防、ストレス緩和
春菊はβカロテンの含有量が多いので、抗酸化作用により免疫力アップやがん予防に効果が期待できます。葉酸や鉄も豊富なので、貧血予防にもよいでしょう。また骨の形成に必要なカルシウムや、整腸作用のある食物繊維、高血圧予防によいとされるカリウム、止血作用のあるビタミンKなども多く含みます。
特有の香りは「リモネン」やαピネンなどの成分によるもので、リラックス効果や食欲増進、胃の保護、咳止めなどの作用があるといわれています。
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シュンギクの種類(品種)
中葉種
一般的に流通しているのがこの中葉種です。葉に深い切れ込みがたくさんあり、香りが強め。関東では側枝の茎を切って何度も摘み取り収穫をする「株立ち中葉種」が主流ですが、関西では根付きで抜き取って収穫する「株張り中葉種」が多いです。
大葉種
おもに中国地方や九州で栽培されている春菊で、葉の切れ込みが浅いのが特徴です。葉は大きくてへらのように丸みがあり、肉厚でやわらか。香りは中葉種ほど強くなくクセのない味わいです。
サラダ用
生食向けの春菊です。茎が細くてやわらかい食感で香りもマイルド。「サラダ春菊」や「やわらか春菊」などの名前で販売されています。また「スティック春菊」は、茎の上のほうにだけ葉がついていて、長めの茎は細くてやわらかく生のままでも食べられます。
各地の年間収穫量 春菊
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
出典:農林水産省統計
2021年の春菊の収穫量のうち最も多いのは大阪府で、約3,390トンの収穫量があります。2位は約2,710トンの収穫量がある千葉県、3位は約2,420トンの収穫量がある茨城県です。
栽培面積・収穫量の推移
出典:農林水産省統計
2021年の春菊の栽培面積は約1,800ヘクタール。収穫量は約2万7,200トンで、出荷量は約2万2,400トンです。