ししとうがらし 獅子唐辛子 Sweet pepper
基礎データ DATA
シシトウの旬(出回り時期)
※これはシシトウの出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 青果物卸売市場調査 品目別:主要卸売市場計(2023年)を参考にしています
シシトウの概要
とうがらしには辛い「辛味種」と、辛味の少ない「甘味種」があり、ししとうがらしはピーマンなどと同じ甘味種になります。「ししとう」とも呼ばれ、漢字では「獅子唐辛子」と書きますが、この「獅子」は、ししとうがらしの先端が獅子の口に似ていることが由来だといわれています。
ししとうがらしもピーマンと同様に完熟すると赤くなりますが、通常は未熟な緑色のうちに収穫して食用にします。なおピーマンについては「ピーマン」のページにまとめています。
シシトウの歴史
とうがらしは中南米が原産地で、15世紀にコロンブスによってスペインにもたらされました。その後ヨーロッパの涼しい環境で辛味の少ない品種が誕生したといわれています。
日本へは16世紀に辛味のあるとうがらしが伝来。江戸時代には栽培されていました。明治時代になると、欧米から甘味種が導入されましたが、しばらくは定着せず、一般に広まったのは第二次世界大戦後です。
シシトウの選び方(見分け方)
皮がきれいな緑色で張りとツヤがあり、ヘタがピンとしていて切り口が変色していないものが良品です。ときどき辛味の強いものに当たることがありますが、その原因は栽培環境や受粉の状況などによるものだそうです。見た目での判断は難しいですが、種が少ないもの、皮の色が黒っぽい緑色のもの、形がいびつなものは辛味が強いことがあります。また夏場は辛いものが増える傾向にあるようです。
シシトウの食べ方
炒め物、揚げ物、焼き物など
ピーマンは種を取り出しますが、ししとうがらしは種ごと食べられます。ただ、カットして使う場合は種を取り除いたほうがよいでしょう。
ししとうがらしは油との相性がよく、強火でサッと炒めると風味も食感もよくなります。天ぷらや素揚げなどにする場合は、破裂防止のため、必ず爪楊枝や包丁の先で穴を数ヶ所あけておきましょう。
万願寺とうがらしや伏見甘長とうがらしも種ごと食べることができますが、気になる場合は調理するときにカットして種を取り除きます。
シシトウの栄養と効能
油いため:カリウム(380mg)、ビタミンC(49mg)、ビタミンB6(0.4mg)、βカロテン当量(540mcg)
注目成分
カプサイシン
期待される効能
高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防、冷え症、風邪予防、がん予防
ししとうがらしはビタミンCが豊富なので免疫力アップや風邪予防、美肌効果などに期待できます。また血圧の上昇を抑える作用のあるカリウムや、エネルギーの代謝に関わるビタミンB6も比較的多め。抗酸化作用のあるβカロテンも多く、油で炒めると効率よく摂取できます。
ししとうがらしは甘味種ですが、辛味種のとうがらしに含まれる「カプサイシン」が含まれていて、脂肪燃焼や血行を促進する効果も期待できます。
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シシトウの種類(品種)
ししとうがらし(獅子唐辛子)
皮が緑色で5〜6cmほどの細長い形をしています。見た目は青唐辛子のようですが辛味は少なく、特有の香りとかすかな苦味があります。炒め物や天ぷら、素揚げなどにするのがポピュラーな食べ方です。時々、辛味の強いものが混ざっていることもあります。
万願寺とうがらし
長さが10cm以上になる大型の甘味種。大正時代末期頃に「伏見甘長とうがらし」と「カリフォルニア・ワンダー」の交配により誕生したと考えられています。京都府舞鶴市万願寺地区で栽培されていたことが名前の由来で、京野菜の1つとしても人気。肉厚でやわらかくて辛味はほとんどなく、ほんのり甘味があり、種が少ないのが特徴です。伏見甘長とうがらしに比べるとふっくらとしていて、炒め物や揚げ物、肉詰めなどに適しています。6〜8月頃がシーズン。
伏見甘長とうがらし
江戸時代から京都府伏見地区で栽培されていた大型で細長い甘味種。大きいものは長さが15cmほどにもなります。肉質はやわらかくて辛味はほとんどありません。炒め物や揚げ物、煮物、焼き物など幅広く活用できます。おもに関西で栽培されていて、6〜9月頃が旬。京野菜の1つで「伏見とうがらし」や「ひもとう」とも呼ばれます。
ひもとうがらし
長さが10~15cmほどの細長いとうがらしで、見た目はさやいんげんのような姿をしています。伏見群のとうがらしと、ししとうがらしの雑種から誕生したと考えられていますが、詳しい来歴はよくわかっていません。辛味はほとんどなく、丸ごと炒め物や天ぷら、煮物などに利用できます。おもに奈良県で栽培されていて旬は夏から秋頃です。
各地の年間収穫量 ししとう
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
出典:農林水産省統計
2022年のししとうの収穫量のうち最も多いのは高知県で、約2,120トンの収穫量があります。2位は約788トンの収穫量がある千葉県、3位は約226トンの収穫量がある宮崎県です。
栽培面積・収穫量の推移
出典:農林水産省統計
2022年のししとうの栽培面積は約293ヘクタール。収穫量は約5,960トンで、出荷量は約4,910トンです。