とうもろこし 玉蜀黍 Sweet corn
基礎データ DATA
トウモロコシの旬(出回り時期)
※これはトウモロコシの出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 青果物卸売市場調査 品目別:主要卸売市場計(2023年)を参考にしています
トウモロコシの概要
とうもろこしは米、麦と並ぶ主要穀物のひとつで、青果用や加工用などいくつかの種類に分類されます。一般的に青果店やスーパーで売られているとうもろこしは「スイート種(甘味種)」で別名「スイートコーン」と呼ばれています。当サイトでは、このスイートコーンのことを「とうもろこし」として紹介していきます。ちなみに青果用以外のとうもろこしには、ポップコーン用の「ポップ種(爆裂種)」や、粉末に適した「フリント種」、デンプンや飼料になる「デント種」などがあります。
とうもろこしには頭の先に茶色い「ひげ」のようなものが生えています。じつはあのひげはとうもろこしの「めしべ」に当たり、その本数は実(粒)の数と同じになっているのです。よく観察すると1つひとつの粒からめしべが伸びているのがわかりますので、機会があったら確認してみてください。
トウモロコシの歴史
とうもろこしの原産地はメキシコから南アメリカ北部にかけての地域と考えられています。その周辺では紀元前3000~2000年にはすでに栽培されていて、マヤ文明やインカ帝国でも主要な農作物だったといわれています。ヨーロッパへは、大航海時代にアメリカ大陸からスペインに持ち込まれて広まりました。
日本へは16世紀後半にポルトガル人によって長崎へ伝来。当時はかための「フリント種」でした。明治時代になると「スイート種」である「ゴールデンバンタム」がアメリカから導入され、北海道開拓とともに栽培が盛んになりました。第二次大戦後になると「ゴールデンクロスバンタム」が入り、さらに昭和40年代に「高糖型(スーパースイート種)」の「ハニーバンタム」、そして昭和60年代に「ピーターコーン」が登場したことでおやつとしての需要が急増しました。
とうもろこしの名前は、中国の「もろこし」という植物に似ていたことが由来とされます。そして舶来品によく使われていた「唐(とう)」の文字をくっつけて「とうもろこし」となりました。
また、元々もろこしは「蜀黍」と書かれるため、とうもろこしだと「唐」をくっつけて「唐蜀黍」になるはずですが、漢字では「玉蜀黍」と書きます。その理由は、「唐」の部分を、とうもろこしの別名「玉黍(たまきび)」の「玉」に替えたからだそうです。
トウモロコシの選び方(見分け方)
頭のひげが濃い茶色でふさふさしたものを選びましょう。熟すにつれて茶色いひげが濃くなるので熟度の目安になります。ひげの数は実(粒)の数と一致するので、多いほうが実の数も詰まっています。また軸の切り口がみずみずしくて持ったときに重みがあり、外皮が鮮やかな緑色のものが新鮮です。皮がむかれている場合は粒がふっくらとしていてツヤがあり、ぎっしりと詰まっているものを選びましょう。
トウモロコシの保存方法
とうもろこしは気温の低い早朝に収穫されますが、時間の経過や気温の上昇にともなって糖度が減少し甘味が落ちます。そのため購入したらできるだけ早く食べましょう。その日のうちに食べきれない場合は、丸ごとまたはカットしてゆでて、熱いうちにラップで包み、冷めたら冷蔵庫に入れます。冷めてからラップすると粒皮にシワが寄って味と食感が落ちてしまいます。
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トウモロコシの食べ方
ゆでる、蒸し物、焼き物、スープ、生のまま食べるなど
ゆでる際は塩をひとつまみ入れて水からゆでましょう。沸騰して3分ほどでさっとあげ、あとは余熱で火を通せばできあがりです。
蒸して食べる場合は、いちばん内側の皮を1枚残したまま蒸したほうが風味が残ります。時間は蒸気が出てから5分程度で、長時間蒸すと味が落ちてしまうので注意しましょう。
煮込み料理に使う際には、芯の部分も一緒にゆでると風味よく仕上がります。
トウモロコシの栄養と効能
ゆで:ビタミンB1(0.12mg)、カリウム(290mg)、リン(100mg)
注目成分
リノール酸、アスパラギン酸
期待される効能
高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防、疲労回復
とうもろこしには高血圧予防によいとされるカリウムや、カルシウムと結合して骨を丈夫にする作用のあるリンが多く含まれます。またビタミンB1はエネルギー代謝を助け、疲労回復によいとされます。
またコレステロールを下げる働きのあるリノール酸や、疲労回復に効果のあるアスパラギン酸も含まれています。
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トウモロコシの種類(品種)
ゴールドラッシュ
2004年から発売されていて、現在主流となっている品種のひとつ。糖度が高く粒皮がやわらかいので生のままでも食べられます。粒の色はきれいな黄色で先のほうまで詰まり、食べたときの皮残りも少なく食味良好です。ゴールドラッシュより粒皮がややかためでプチプチした食感の「ゴールドラッシュ86」や、甘味がより強い「ゴールドラッシュ88」などもあります。
味来(みらい)
味来は2000年頃からシェアを拡大している黄粒の品種です。甘味が強くて粒皮がやわらかく、生で食べることもできます。サイズは一般的なとうもろこしに比べるとやや小さめですが、みずみずしくて食味良好。シリーズに「味来390」や「味来早生130」「味来7000」などがあります。
恵味(めぐみ)
恵味(Sweets恵味86)は粒が鮮やかなレモン色で皮がやわらかく、甘味が強いのが特徴。サイズが大きめで、食味と見た目に優れたとうもろこしです。シリーズに「Sweets恵味ゴールド」や「Sweets恵味キュートST」などがあります。
ゆめのコーン
新しい品種で、黄色と白のバイカラーコーン。粒皮がやわらかくて糖度が高く食味に優れています。生でも加熱しても美味。収穫後に甘味が落ちにくいのも魅力です。より粒皮がやわらかい「ゆめのコーン85」や、ボリュームのある「ゆめのコーン80」などの品種もあります。
サニーショコラ
やわらかくてみずみずしく、生でも甘いとうもろこし。比較的新しい品種で、粒は淡い黄色でゆでると鮮やかな黄色になります。450〜500gと大きくてボリューム感がある「サニーショコラ88」もあります。
ハニーバンタム
昭和40年代に導入され、それまでになかった甘味の強さから人気が急上昇。しばらくの間、高いシェアを誇っていた品種です。最近では新品種に押されてあまり見かけませんが、同系列の「ハニーバンタム20」や「ハニーバンタム早生200」などが栽培されています。
ハニーバンタムの関連リンク
ピーターコーン
黄粒と白粒が3:1の割合で混じるバイカラーのとうもろこし。高糖度型の代表品種のひとつで、昭和60年に登場しました。甘くて粒皮がやわらかく食べやすいことから一時は主流品種にもなりました。最近は少し生産量が減っていますが、まだまだ人気はあるようです。
ウッディーコーン
黄色、白色、茶紫色の粒が混ざった3色のスイートコーン。やわらかくて甘味が強く、もちっとした食感が味わえます。粒離れがいいので食べやすく、焼きトウモロコシにすると風味がさらにアップ。珍しい3色粒の組み合わせなので見た目にも楽しめます。
ホワイトコーン
粒が白色のとうもろこしで「白とうもろこし」や「シルバー系」とも呼ばれます。白い粒がツヤツヤとしていて甘味が強く、果皮がやわらかいのが特徴。品種としては「ピュアホワイト」や「シルバーコーン」「バニラッシュ」などがあり、その多くが生のまま食べられます。
ベビーコーン
別名「ヤングコーン」とも呼ばれ、スイートコーンの幼穂(幼果)を摘み取ったもの。長さ5〜10cmくらいで芯ごと食べることができ、甘味と歯ごたえがあります。タイなどからの輸入品や缶詰のほか、5月下旬から6月中旬頃には少量ながら国産のものも出回ります。国産のものは皮付きで出回ることが多く、細くてやわらかいヒゲは食べることも可能です。
各地の年間収穫量 とうもろこし
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
出典:農林水産省統計
2022年のとうもろこしの収穫量のうち最も多いのは北海道で、約7万8,100トンの収穫量があります。2位は約1万6,300トンの収穫量がある千葉県、3位は約1万4,800トンの収穫量がある茨城県です。
栽培面積・収穫量の推移
出典:農林水産省統計
2022年のとうもろこしの栽培面積は約2万1,300ヘクタール。収穫量は約20万8,800トンで、出荷量は約17万2,600トンです。
トウモロコシの輸入先と輸入量
出典:財務省統計
トウモロコシはアメリカ、中国、メキシコの3か国から輸入されています。アメリカからの輸入量は約28.4トンで、全体の60%近くを占めています。中国からの輸入量は約18.8トンで、全体の40%近くを占めています。メキシコからの輸入量は約1.4トンです。
年別輸出入量
出典:財務省統計
トウモロコシは海外から輸入されています。2022年の輸入量は約48.6トンで輸入額は約2,269万円です。輸入量は前年と比べると16.3トン(約50%)増加しています。
主要生産国(上位5か国)
出典:FAOSTAT(2021年)
スイートコーン生産の上位5か国は、アメリカ、メキシコ、インドネシア、ナイジェリア、クロアチアです。1位のアメリカの生産量は年間約259万5,570トンで全体の約26%を占めています。2位のメキシコは年間約112万675トンで全体の約11%、3位のインドネシアは年間約86万9,000トンで全体の約9%です。
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