つるむらさき 蔓紫 Malabar spinach
基礎データ DATA
ツルムラサキの概要

つるむらさきは、加熱すると特有のヌメリが出る熱帯地域生まれの野菜です。「赤茎種」と「緑茎種」の2つのタイプがあり、赤茎種は茎が紫色で、緑茎種は全体が緑色になります。緑茎種のほうが食味がよいとされ、国内で流通するつるむらさきのほとんどは緑茎種です。
葉はやや肉厚で、つる先から15cmほどを収穫して茎と葉を食べます。暑い気候を好むため夏が旬。ほんのり土のような香りがあるのもつるむらさきの特徴です。
ツルムラサキの歴史

つるむらさきは東南アジアの熱帯地域が原産地と考えられていて、インドやマレーシア、ベトナム、中国南部などでは古くから食べられていました。ほうれん草のような扱い方をすることから「インディアン・スピナッチ」とも呼ばれるそうです。
日本で初めて書物に登場したのは平安時代の「本草和名」です。つるむらさきの中国名である「落葵」の項目に、「和名 加良阿布比(からあふひ)」と記されています。ただ、この時点で日本に渡来していたかどうかは不明です。
「新刊多識編」(1631年)の落葵の項目には日本名の「豆留牟良佐岐(つるむらさき)」の記述があることから、江戸時代には伝わっていたと考えられます。また、貝原益軒の「菜譜」(1704年)では、「わかき苗も、葉もくらうべし」と野菜として紹介されています。しかし、つるむらさきが野菜として浸透したのは1970年以降のこと。チンゲンサイなどの中国野菜の普及にともなって一般家庭に広まりました。
ツルムラサキの選び方(見分け方)

茎と葉がやわらかくて切り口がみずみずしいもの。また、葉が肉厚でツヤがあり、あまり成長していない若いものを選びましょう。葉が枯れているものや変色しているものは避けます。
ツルムラサキの保存方法
軽く湿らせた新聞紙などで包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室へ。2~3日で使いきりましょう。かためにゆでて小分けしたものを冷凍してもOKです。
ツルムラサキの食べ方
お浸し、和え物、炒め物、揚げ物など
お浸しにする場合は、ゆですぎると食感が悪くなるので2~3分程度でよいでしょう。特有の香りは、ごま油で炒めてにんにくで風味をつけたり、天ぷらにすると気になりません。
また調理する際は葉と茎の部分を分けておき、先に茎から火を通しておくと均等に加熱することができます。
ツルムラサキの栄養と効能
ゆで:βカロテン当量(3400mcg)、ビタミンK(350mcg)、食物繊維総量(3.1g)、カルシウム(180mg)、カリウム(150mg)
期待される効能
風邪予防、高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防、便秘予防、がん予防、骨粗鬆症
つるむらさきに豊富に含まれるβカロテンには抗酸化作用があり、免疫力アップやアンチエイジング、がん予防などに効果があるといわれています。
骨の健康維持をサポートするカルシウムやビタミンKも多く、便秘予防に効果のある不溶性食物繊維や、血圧の上昇を抑え成人病予防によいとされるカリウムも多めです。
また、つるむらさきのぬめり成分は、胃腸の粘膜を保護する作用があるといわれています。
栄養成分表を見る
ツルムラサキの種類(品種)
各地の年間収穫量 つるむらさき
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
出典:農林水産省統計
2022年のつるむらさきの収穫量のうち最も多いのは福島県で、約271トンの収穫量があります。2位は約149トンの収穫量がある宮城県、3位は約128トンの収穫量がある徳島県です。
栽培面積・収穫量の推移
出典:農林水産省統計
2022年のつるむらさきの栽培面積は約43ヘクタール。収穫量は約789トンで、出荷量は約769トンです。