かいわれ大根 スプラウト類 Sprout
基礎データ DATA
かいわれ大根の概要
スプラウトとは野菜や豆類などの種子から発芽した新芽の総称で、ほかにもブロッコリーや芽キャベツ、マスタードなどいろいろな種類のスプラウトがあります。かいわれ大根もスプラウトの一種で、大根の新芽を食用としたものです。
近年、需要が伸びているスプラウトの1つに豆苗がありますが、これはエンドウ豆の若菜のこと。シャキシャキとした食感とほのかな甘味が特徴です。
これらのスプラウトは基本的に水耕栽培されていて、周年出回っています。種類によって色や風味が異なるのでいろいろ食べ比べてみるとよいでしょう。
ちなみにかいわれ大根は漢字で「貝割れ大根」と書きますが、これは葉の形が二枚貝が開いたように見えることが由来だそう。また、かいわれ大根を上手に成長させると大根になります。
なお「もやし」も種子から発芽したスプラウトの一種ですが、もやしについてはこちらのページ「もやし」で紹介しています。
かいわれ大根の歴史
かいわれ大根は平安時代には食べられていたとされ、「野菜の日本史」(1991年)によると、平安時代の辞書「和名抄(わみょうしょう)」に書かれている「黄菜(おうさい)」が、かいわれ大根だそうです。また、黄菜は「さわやけ」とも呼ばれ、同じく平安時代の「うつほ物語」に登場する「さわやけ汁」も貝割れ大根で作った汁物だと書かれています。
ちなみに、うつほ物語では藤原李英が貧窮暮らしの中、夜に蛍の光で勉強しているところへ、厨女が黒い強飯と「さわやけ汁」を持ってくるというシーン(絵指示)に描かれています。さわやけは辛みの強い「温菘(はま大根)」の若芽で、当時はごく普通に食べられていたようです。ただし、当時食べていたものは現在のような発芽したばかりの新芽ではなく、もう少し成長したものなのかもしれません。
江戸時代もかいわれ大根は食べられていて、「年中番菜録」(1849年)ではレシピも紹介されているそうです。しかし本格的な生産は行われず、昭和40年代頃までは高級品とされていました。昭和50年代頃から安定して供給されるようになり、一般家庭に浸透。近年は豆苗やほかの野菜のスプラウトが続々と登場しています。
かいわれ大根の保存方法
かいわれ大根などのスプラウトは購入したパックのまま冷蔵庫の野菜室で保存します。根元が乾燥しないように注意し、2~3日以内に使いきりましょう。根元をカットしたものはラップで包んで冷蔵庫へ。
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かいわれ大根の食べ方
サラダ、和え物、スープ、巻き寿司、炒め物など
かいわれ大根などのスプラウトは生のまま食べられます。サラダやサンドイッチ、和え物などのほか、スープや味噌汁などに入れるのもおすすめ。また薄切り肉やベーコンで巻いて焼くのも人気の食べ方です。
豆苗は炒め物やお浸し、お鍋などにも合います。生でも食べられますが、少し加熱したほうが風味がやわらいで食べやすいかもしれません。
なお、かいわれ大根はパックに入って売られていることが多いですが、そのままでは茶色い種の皮が残っているので、流水または水を張ったボールに入れてしっかり洗いましょう。根元をカットして束のまま中央部をつかみ、根元と葉先を振り洗いすると取りやすいです。
また根元をカットせずに、パックに入った状態のまま洗う方法もあります。パックの中に流水を強めに流し入れると、水圧で茶色い皮が浮き出てきます。
かいわれ大根の栄養と効能
かいわれ大根/生:βカロテン当量(1900mcg)、ビタミンK(200mcg)、葉酸(96mcg)
注目成分
アリルイソチオシアネート
期待される効能
がん予防、貧血予防、風邪予防
かいわれ大根はβカロテンを豊富に含んでいます。βカロテンは皮膚や粘膜の健康を助けるほか、抗酸化作用によりアンチエイジングやがん予防によいとされています。また血液の凝固や骨の形成に関わるビタミンK、造血をサポートする葉酸も多めです。
かいわれ大根のピリッとした辛味は大根にも含まれるアリルイソチオシアネートという成分で、抗菌作用や食欲を増進させる働きがあるといわれます。
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かいわれ大根の種類(品種)
かいわれ大根
大根の種から発芽した新芽で、長さは12cmほど。白い軸の先に緑色の双葉を付けています。特有のさわやかな辛味があり、生のまま食べられます。
豆苗(とうみょう)
エンドウ豆の若菜で、見た目はかいわれ大根に似ています。軸の色はかいわれ大根に比べて緑色が濃く、シャキッとした食感で辛味はありません。ほんのりと甘味があって生食もできますが、炒めたりスープなどに利用されることが多いです。
スプラウト
「ブロッコリー」は辛味が少なく、「マスタード」や「赤ラディッシュ」はピリッとした辛味が持ち味。また「レッドキャベツ」は軸の色が赤紫色でほんのり甘味があり、「空芯菜」は辛味やクセがなく食べやすいのが特徴です。「アルファルファ」は「ムラサキウマゴヤシ」という多年草の新芽です。ほかに「そば」や「ひまわり」「クレス」などいろいろな種類のスプラウトがあります。
各地の年間収穫量 かいわれ大根
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
出典:農林水産省統計
2022年のかいわれ大根の収穫量のうち最も多いのは福岡県で、約1,810トンの収穫量があります。2位は約394トンの収穫量がある大阪府、3位は約247トンの収穫量がある岐阜県です。
栽培面積・収穫量の推移
出典:農林水産省統計
2022年のかいわれ大根の収穫量は約4,040トンで、出荷量は約4,020トンです。栽培面積は公表されていません。