しそ シソ 紫蘇
基礎データ DATA
シソの概要
しそは、さわやかな香りを持つ香味野菜の1つです。葉が緑色の「青じそ」と赤紫色の「赤じそ」があり、青じそは「大葉」とも呼ばれます。
青じそは薬味や刺身のつま、パスタ、天ぷらなどに使用され、赤じそはおもに梅干しや漬け物に使われます。また、葉だけではなく、芽や実をつけた「穂じそ」も刺身の添え物や醤油漬けなどに利用されます。
ちなみに、しそは漢字で「紫蘇」と書きますが、これは中国の昔話が由来だそうです。その昔、食中毒で死の淵をさまよった少年にしその葉を煎じた紫色の薬を飲ませたところ、無事に蘇ったことから「紫蘇」と名付けられたといわれます。
青じそは周年流通していますが、赤じそは6月から8月頃がシーズンです。
シソの歴史
しそは中国からヒマラヤにかけての地域が原産地といわれ、中国では古くから薬草として利用されていました。日本には中国から伝わったとされ、「鳥浜貝塚(福井県)」など全国各地の縄文遺跡から種実が出土しています。
しその栽培がいつ頃から始まったのかはわかりませんが、平安時代の書物「延喜式(えんぎしき)」には、「伊勢国 蘇子一升」「尾張国 紫蘇子各五升」「讚岐国 紫蘇子五升」などと記されており、その頃には栽培が行われていたのではないかと推測できます。
同じく平安時代の「本草和名」には、「蘇」の項目で「和名 以奴衣(いぬえ) 一名 乃良衣(のらえ)」と記されています。語尾の「え」は、えごまを意味する「荏」を表すので、えごまに似た植物として認識されていたようです。
江戸時代に書かれた「農業全書」(1697年)には、「梅漬やしほみそにつけたものはさまざまな料理に使え、それを生魚に使えば毒を殺し、また薬としても使える」ということが書かれています。
シソの選び方(見分け方)
青じそ(大葉)は葉に張りがあり全体にみずみずしさがあるもの。また葉の色が濃く、香りの強いものを選びましょう。切り口が変色していたり、葉がしなびているものは鮮度が落ちています。
赤じその見分け方も同様で、香りがよく葉に張りがありものがおすすめです。
シソの保存方法
青じそ(大葉)は乾燥に弱いので、ポリ袋などに入れて冷蔵庫の野菜室へ。湿らせたキッチンペーパーで葉を挟んで(できれば1枚ずつ)ポリ袋などに入れておくと日持ちがよくなります。
また、葉を水で軽く湿らせてから保存用袋に入れておくという方法や、ビンに1~2cmほど水を入れ、軸が浸かるようにまとめて立てて冷蔵しておくというやり方もあります。ビンの場合、葉の上部が乾燥しないようふたをするかラップをかけておきましょう。
赤じそもポリ袋に入れるなどして冷蔵庫の野菜室へ。大葉よりも葉がしなびやすく日持ちしないので、なるべく早く使いましょう。
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シソの食べ方
薬味、添え物、揚げ物、パスタなど
青じそ(大葉)は、刺身に添えたり、千切りにしてそうめんや冷奴などの薬味として利用するほか、天ぷらにしたり、鶏肉や白身魚などに挟んでフライにしても美味。パスタやサラダに混ぜても香りが引き立ちます。
千切りにするときは軸の部分をカットして、葉を根元から葉先にむかってクルクルと丸めてから細く切っていくと楽にカットできます(数枚を重ねると効率も高まります)。
赤じそはおもに梅酢にして梅干しや紅ショウガの色づけなどに使います。赤じそにはアクがあるため、アク抜きをしておきましょう。たっぷりの水でよく洗って水気を切り、葉に塩をかけてもむと色の付いたアク汁が出てくるので、それを手でしっかりと絞ります。
穂じそは刺身のつまや料理のあしらい、天ぷらなどに使い、しその実は佃煮や漬け物などに利用します。刺身に添えられたものは、花や実を軽くしごいてしょうゆに入れると香りが楽しめます。
シソの栄養と効能
生:βカロテン当量(11000mcg)、カリウム(500mg)、ビタミンK(690mcg)、葉酸(110mcg)
注目成分
ペリルアルデヒド
期待される効能
高血圧予防、がん予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防、貧血予防、風邪予防
しそにはβカロテンが豊富に含まれています。βカロテンには抗酸化作用のほか、皮膚や粘膜を丈夫にする作用があるといわれます。また高血圧予防によいとされるカリウムや、造血作用のある葉酸、骨にカルシウムを沈着させる働きのあるビタミンKなどが多いのもポイントです。
しそが持つ特有の香り成分ペリルアルデヒドには、抗菌作用や食欲を増進させる作用があります。また赤じそに含まれる色素成分のアントシアニンには抗酸化作用があるといわれます。
ただし青じそ(大葉)の葉の重さは1枚1g程度と実際の摂取量は少ないため、栄養面での大きな期待はしないほうがいいかもしれません。
なお、赤じそと青じその栄養成分に大きな差はないそうです。
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シソの種類(品種)
青じそ(大葉)
「大葉」とも呼ばれ、葉が緑色で香りが強いのが特徴。「赤じそ」の変種で、フチがギザギザしていて丸みのある形をしています。おもに刺身のツマやパスタ、天ぷらなどに利用され、ドレッシングの香り付けとしても定番です。葉の表面が縮れているものは「ちりめん青じそ」と呼ばれます。
赤じそ
葉が赤紫色のしそ。梅干しや漬け物の色づけに利用されることが多く、ふりかけの「ゆかり」の原料としても使われています。また、青じそと同様、葉の表面が縮れているものは「ちりめんじそ」と呼ばれ、葉の片面だけが赤くてもう片面が青色の「片面じそ」というものもあります。
芽じそ
しその若い芽のこと。赤じその芽は「紫芽(むらめ)」、青じその芽は「青芽(あおめ)」と呼ばれ、いずれも刺身のツマや薬味などに利用されます。
花穂じそ
しその花穂の部分で、花軸の3割ほどが開花した状態のものを「花穂じそ」といいます。香りがよく、刺身のツマや天ぷらに使われます。
穂じそ
「穂じそ」は、「花穂じそ」の花が落ちて実をつけた状態のものです。刺身のツマや天ぷらなどに使われるほか、実をしごいて佃煮やしょうゆ漬け、福神漬けなどにも利用できます。しその実は別名「こき穂」とも。
エゴマ
漢字では「荏胡麻」と書くシソ科の植物。見た目は「青じそ(大葉)」に似ていて、さわやかな香りがします。天ぷらや刺身のツマに用いられるほか、韓国風焼き肉ではサンチュのように焼き肉をエゴマで巻く食べ方もあります。また、エゴマの実はごまのように活用することも可能です。
各地の年間収穫量 シソ
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
出典:農林水産省統計
2022年のシソの収穫量のうち最も多いのは愛知県で、約4,020トンの収穫量があります。2位は約923トンの収穫量がある宮崎県、3位は約555トンの収穫量がある静岡県です。
栽培面積・収穫量の推移
出典:農林水産省統計
2022年のシソの栽培面積は約457ヘクタール。収穫量は約7,910トンで、出荷量は約7,750トンです。