トウガラシ 唐辛子 Chili Pepper

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  • とうがらし(葉)

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基礎データ DATA

トウガラシの概要

とうがらし(収穫前) とうがらし

とうがらしは、カレーや中華料理、エスニック料理など世界中の料理に利用され、今や欠かすことのできない香辛料のひとつです。日本では細長い「鷹の爪」が一般的でしたが、最近では「ハバネロ」のように小さくて丸みのあるものや、楕円形の「ハラペーニョ」、辛味がおだやかで丸ごと食べられるものなどいろいろな種類のとうがらしが出回るようになりました。

ちなみに、とうがらしには「青とうがらし」と「赤とうがらし」がありますが、未熟なものが青とうがらしで、熟したものが赤とうがらしです。

とうがらしの中には大型で辛味のないものもありますが、そのようなものは「ピーマン」や「パプリカ」「シシトウガラシ」などに分類されます。ピーマンとパプリカについては「ピーマン」、ししとうがらし(獅子唐辛子)は「ししとうがらし」のページにまとめています。

※ご注意
ここではおもに生鮮の辛味とうがらしについて記述しています。そのため下のグラフは、乾燥とうがらしではなく生鮮とうがらしのデータとなりますのでご注意ください。

なお、乾燥とうがらしは、中国をはじめスペインやペルー、チリなどさまざまな国から輸入されています。2018年の統計では約1万4800トンの輸入量があり、そのほとんどは中国からの輸入です。

トウガラシの歴史

とうがらし(花)

とうがらしは中南米が原産で、メキシコでは紀元前6500~5000年頃にはすでに食用とされていました。アメリカ大陸発見後にヨーロッパへ伝わり、のちにインド、中国へ伝播。諸説ありますが、日本へは16世紀に渡来したといわれています。

文献に登場したのは「清良紀 親民鑑月集」(1628)で「唐苛(とうがらし)」と記されています。また、寛永13年(1636年)の朝鮮通信使に振る舞われた「七五三饗膳」の品書きにとうがらしの名前が出てきます。ただ、これらが現在のとうがらしを指しているかどうかはわかりません。これより少し後の文献「本朝食鑑」(1697年)や「本朝食鑑」(1697年)に記されている「番椒」は、現在のとうがらしを指していると考えられます。

ちなみに、とうがらしは「唐辛子」と書きますが、中国の唐から来たという意味ではありません。「唐」というのは「外国」という意味で、要するに外国からやってきた「からし」ということになります。

トウガラシの選び方(見分け方)

選び方

果皮に張りとツヤがあり、色が鮮やかなものがおすすめです。変色したものや枯れたものは避けたほうがよいでしょう。ヘタがピンとしているものは鮮度がよいものです。

トウガラシの保存方法

新鮮なとうがらしは水分が多く、あまり日持ちしません。ポリ袋などに入れて冷蔵庫の野菜室で保存して、早めに使い切りましょう。

乾燥させると長期保存が可能です。風通しのよい場所に吊すなどしてしっかり乾燥させ、保存用袋などに入れて冷暗所または冷蔵庫の野菜室で保存するとよいでしょう。

トウガラシの食べ方

炒め物、煮物、スープなど

とうがらしの辛味の元であるカプサイシンは、油に溶けやすい性質があります。そのため、先に油で炒めておくと辛味がしっかり広まります。

また、とうがらしは種が一番辛いといわれることがありますが、実際は種を支える内壁の白いワタ(胎座:たいざ)に強い辛味成分があります。これが種に付着することで種にも強い辛味を感じるのです。そのため辛味を控えめにしたいときは、中身を出さないよう丸ごと使うか、とうがらしをカットしてワタの部分を取り除いておくとよいでしょう。

なお、カットしたとうがらしを手でさわったら、しっかりと手を洗うことが大切です。辛味成分が手に残っていると、顔や目をさわったときに目や皮膚が痛くなることがあります。

トウガラシの栄養と効能

生:βカロテン当量(7700mcg)、カリウム(760mg) 乾燥:βカロテン当量(17000mcg)、カリウム(2800mg)

注目成分

カプサイシン

期待される効能

冷え症、風邪予防

とうがらしはβカロテンとカリウムが豊富に含まれています。βカロテンは抗酸化作用があり、皮膚や粘膜を正常に保つ働きも持ちます。またカリウムは血圧の上昇を抑える作用があり、生活習慣病の予防によいとされます。ただし、とうがらしは1度に食べる量がとても少ないので、これらの栄養素の摂取はあまり期待はできません。

とうがらしの辛味成分カプサイシンは代謝を促して血行をよくしたり、食欲増進、殺菌作用などの効果があるとされます。また免疫を高める効果もあるといわれるので冷え症や風邪予防などによいでしょう。

トウガラシの種類(品種)

鷹の爪(たかのつめ)

鷹の爪(たかのつめ)

辛味とうがらしの代表的な品種で、細長くて辛味が強いのが特徴です。形が鷹のかぎ爪に似ていることからこの名前になったといわれます。なお「鷹の爪」は細長い辛味とうがらしの総称として使用されることもありますが、辛味とうがらしには「鷹の爪群」や「八房(やつぶさ)群」「伏見(ふしみ)群」など、辛さや実のつき方の違いなどでいくつかの系統に分かれています。また、乾燥とうがらしは中国産のものが多く流通しています。

島とうがらし

島とうがらし

沖縄県や鹿児島県などで栽培されている小型のとうがらしで、「木立唐辛子(キダチトウガラシ)」の一種。長さが2〜3cmほどと小さく、辛味がとても強いのが特徴です、沖縄では島とうがらしをお酒の泡盛に漬け込んだ「コーレーグース」という調味料が愛用されています。

葉とうがらし

葉とうがらし

文字通りとうがらしの葉のことで、葉と実をつけた状態で収穫されます。葉を佃煮や炒め物などにするのがポピュラーな食べ方で、佃煮はおにぎりの具にすると美味。旬は7月から9月頃です。使用されている品種は「伏見辛」や「日光唐辛子」など。また京都で栽培されている「京唐菜(きょうとうな)」は茎もやわらかく、葉と茎を食用にします。

ハバネロ

ハバネロ

かつて一時期「世界一の辛さ」として知名度が高まったとうがらし。辛味が非常に強くてフルーティーな香りを持ち、サイズは3cm前後と小さく丸みのある形をしていています。オレンジや黄色などいくつか種類がありますが、「レッドサビナ」種がハバネロの中で一番辛味が強く、熟すと赤くなります。おもにメキシコ料理やピザのソースなどに利用されるほか、スナック菓子などにも使用されています。

ハラペーニョ

ハラペーニョ

メキシコで一般的に栽培されている青とうがらし。長さは4cm前後で果皮に光沢があり、強い辛味を持ちます。肉厚で香りがよく、タバスコやサルサソースなどに最適。辛さはハバネロや鷹の爪に比べると少なく、メキシコ料理ではピクルスとしても食べられています。

各地の年間収穫量 とうがらし

円グラフと下表の割合(%)が違うときは?

上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。

下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。

上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。

出典:農林水産省統計

2022年のとうがらしの収穫量のうち最も多いのは京都府で、約44トンの収穫量があります。2位は約44トンの収穫量がある大分県、3位は約39トンの収穫量がある千葉県です。

栽培面積・収穫量の推移

出典:農林水産省統計

2022年のとうがらしの栽培面積は約79ヘクタール。収穫量は約236トンで、出荷量は約220トンです。

トウガラシの輸入先と輸入量

出典:財務省統計

トウガラシは5か国から輸入されています。輸入先トップは韓国で輸入量は約255トン、トウガラシ輸入量のほとんどを占めています。2位はベトナムの約5.1トンで全体の約2%程度です。3位は中国の約2.3トン。4位は約1.3トンのオランダと続きます。

年別輸出入量

出典:財務省統計

トウガラシは海外から輸入されています。2023年の輸入量は約265トンで輸入額は約1億8,647万円です。輸入量は前年と比べると140トン(約35%)減少しています。

主要生産国(上位5か国)

出典:FAOSTAT(2021年)

ピーマン&唐辛子類生産の上位5か国は、中国、メキシコ、インドネシア、トルコ、スペインです。1位の中国の生産量は年間約1,681万519トンで全体の約45%を占めています。2位のメキシコは年間約311万3,244トンで全体の約8%、3位のインドネシアは年間約302万262トンで全体の約8%です。

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