たけのこ 筍 Bamboo shoot
基礎データ DATA
タケノコの旬(出回り時期)
※これはタケノコの出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 青果物卸売市場調査 品目別:主要卸売市場計(2023年)を参考にしています
タケノコの概要
竹の地下茎から伸びる若い芽が「たけのこ」です。春になると店頭に並び食卓を賑わせてくれるおいしい食材ですが、たけのこを食用としているのは日本や中国、韓国など東アジアの限られた国だけです。
一般的にたけのこというと「孟宗竹(もうそうちく)」のことを指しますが、ほかにも「淡竹(はちく)」や「根曲がりだけ」「真竹」「寒山竹」など、食用できるものは10種類以上あります。
タケノコの歴史
現在、一般的に流通しているたけのこの「孟宗竹」は中国江南地方が原産地で、日本へは江戸時代中期の1740年頃に伝来したとされています。中国からまず琉球に入り、それが薩摩へ伝わり、さらに江戸にもたらされ、全国に広まりました。大正時代に入ると栽培面積が急増。ただし孟宗竹は東北より北の地域ではあまり生育しないそうです。
孟宗竹が日本に伝わったのは江戸時代ですが、「古事記」にもたけのこ(笋:たかむな)の記載があります。このため日本にもたけのこが当時からあり、馴染みのある食物だったようです。
タケノコの選び方(見分け方)
たけのこは穂先が土から出て日に当たると、えぐみが強くなり風味が落ちます。日に当たったものは穂先が濃い緑色になっているので避けましょう。えぐみの少ないたけのこは、穂先が黄色~薄黄緑色をしています。
また、ずんぐりとした形で重みがあり、皮がツヤツヤしていて、根元のイボが濃赤色になっていないものが良品です。皮や切り口のみずみずしいものを選びましょう。
タケノコの保存方法
たけのこは時間が経つごとにえぐみが増します。購入したらすぐにアク抜きをしましょう。下処理したあと、すぐに使わないときは、全体がひたるように水をつけて冷蔵庫で保存。水を毎日取り替えれば5日くらいは持ちます。
長期保存したい場合は、アク抜きしたものを瓶詰め(要煮沸殺菌)にして水煮にするとよいでしょう。また、多少食感は落ちますが、適当なサイズにカットして砂糖をまぶしたものを保存容器に入れて冷凍すると長持ちします。
タケノコの保存方法を見る
タケノコの食べ方
煮物、焼き物、炒め物、和え物、揚げ物、汁物、炊き込みご飯など
たけのこを買ったらすぐにアク抜きをします。必要なものはたっぷりの熱湯、米ぬか(なければ米のとぎ汁)、赤トウガラシ(2~3本)です。まず、たけのこの先端3cmほどの部分を斜めにカットして、さらに縦に切り込みを入れます。こうすることで火の通りがよくなります。
沸騰したお湯にたけのこ、米ぬか、赤トウガラシをいれ、1時間ほど弱火でゆでます。米ぬかの量は、たけのこ1kgに対して1/2カップくらいを目安に。根元に竹串がスッと通ればゆであがりです。そのままお湯が自然に冷めまでおいておき(一晩おいても可)、冷めたら皮をむいて調理します。
たけのこは部位によってかたさが異なるので、中心部や根元は煮物や炒め物、やわらかい穂先は汁物や和え物など使い分けてもよいでしょう。
タケノコの切り方を見る
タケノコの栄養と効能
ゆで:カリウム(470mg)、食物繊維総量(3.3g)
注目成分
チロシン
期待される効能
高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防、便秘予防
たけのこはカリウムの含有量が多いので、高血圧予防や生活習慣病の予防に効果が期待できます。腸のぜん動運動を促す不溶性食物繊維も多めなので便秘予防にもよいでしょう。
たけのこをカットしたときに節の間に見られる白い粉のようなものは、アミノ酸の一種「チロシン」で、脳を活性化させる作用があるといわれています。なお、えぐみの元となっているのは「シュウ酸」や「ホモゲンチジン酸」などで、これらはぬかや米のとぎ汁でアク抜きをすることで取り除くことができます。
栄養成分表を見る
タケノコの種類(品種)
孟宗竹(もうそうちく)
一般的に流通しているたけのこのほとんどは「孟宗竹」で、太めで香りがよく、肉質がやわらかいのが特徴です。たけのこの中ではえぐみが少なめですが、ぬかなどを使ってあく抜きしてから調理するのが基本。煮物から炒め物、揚げ物まで幅広く使えます。寒冷地では生育しにくいため、おもに九州や関西地方で栽培されています。旬は3〜5月頃。
根曲がり竹(姫竹)
東北地方や日本海側、北海道など涼しい地域で育つ小さなたけのこ。「チシマザサ」という笹のタケノコで、「姫たけ」や「笹たけのこ」「月山筍」など地域によって呼び名が異なります。長さは20cmほどで細長く、穂先はやわらかくて根元はコリコリとした食感。煮物や天ぷら、ホイル焼きなどにすると美味です。アクはあまりないのでそのまま調理することが可能。旬は5月下旬から7月頃です。
淡竹(はちく)
5〜6月頃が旬で、皮の色が少し赤紫がかっていて細長い形をしています。アクが少ないので基本的に孟宗竹のようなあく抜きは必要なく、皮をむいて水から下ゆですればOK。果肉はやわらかくシャキッとした歯触りです。あっさりとした風味で煮物や揚げ物など孟宗竹のように調理できます。寒さに弱い孟宗竹とは違い、淡竹は北海道でも育ちます。
真竹(まだけ)
孟宗竹や淡竹より時期がやや遅く、5〜7月頃に収穫されます。細長くて皮に黒い斑点があり、アクは少なめで果肉はやわらか。淡竹同様に下ゆでしてから調理するとよいでしょう。節の間隔が広いものは加熱時に空気が膨張してしまうため、縦にカットしておくと安心です。風味がよく、収穫後あまり時間が経っていなければ苦味はあまりありません。
各地の年間収穫量 たけのこ
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
出典:農林水産省統計
2022年のたけのこの収穫量のうち最も多いのは福岡県で、約5,875トンの収穫量があります。2位は約5,251トンの収穫量がある鹿児島県、3位は約3,053トンの収穫量がある京都府です。
栽培面積・収穫量の推移
出典:農林水産省統計
2022年のたけのこの収穫量は約2万1,798トンです。なお、上記グラフでは「収穫量」となっていますが、農林水産省の表記では「生産量」となっています。