からし菜 芥子菜
基礎データ DATA
- 分類:アブラナ科アブラナ属
- 原産地:中央アジア
- 季節の分類:冬春
- 多く出回る時期:12月~4月頃
カラシナの概要
からし菜はキャベツやブロッコリーと同じアブラナ科の野菜です。名前に「からし」と入っているように、葉にはピリッとした辛味があります。漬け物によく利用される高菜や中華料理のザーサイもからし菜の仲間です。また葉と茎を食用にするだけでなく、種子を粉末にしたものは「和からし」になります。
ちなみに西洋の「マスタード」も和からしと同様にからし菜の種子が原料ですが、使用する種類が異なります。マスタードは辛味のおだやかな「白からし・イエローマスタード(西洋からし)」の種子が原料で、和からしは辛味の強い「オリエンタルマスタード・ブラウンマスタード(和からし)」の種子が原料です。また、マスタードはビネガーなどの調味料を混ぜているため食べやすくなっていて、和からしのように少量で「辛い!」ということはありません。
なお「和からし」と書かれていない粉からしやチューブの練りからしは、和からしと西洋からしを混ぜていることがあります。最近はブラックマスタードもありますが、これは辛味の強い「黒からし」が原料です。
このようにからし菜は、葉も茎も種も食べられる有用な食材といえます。からし菜の旬の時期は12月から4月頃です。
カラシナの歴史
からし菜はアブラナ科の野菜から分化したもので、原産は中央アジアといわれています。茎葉を食用にするものは中国で進化し、からしやマスタードに利用される種類はインドやヨーロッパなどで進化したとされます。
日本へは中国から伝わり、平安時代の「本草和名」では「芥」の項目で「加良之(からし)」と記されています。高菜も「菘」の項目で「多加奈(たかな)」と記載されていて、当時からこの2つは区別されていたようです。ただし「菘」は時代ごとに示している植物の種類が変わるため、現在の高菜のことを指しているのかどうかはわかりません。いずれにしても、からし菜に近い種類の野菜が存在していたことは確かなようです。
カラシナの選び方(見分け方)
葉が濃い緑色で張りとツヤがあり、みずみずしさを感じるものが良品です。育ちすぎのものはかたくてスジっぽいことがあるので、茎が太くないほうが口当たりはよいでしょう。切り口が変色していたり、葉がしおれてパサパサになったものは鮮度が落ちています。
カラシナの保存方法
乾燥を防止するため新聞紙などで包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。新聞紙は水で軽く湿らせておいてもよいでしょう。ただし、日持ちはしないので買ってきたら1~2日で調理することをおすすめします。
カラシナの食べ方
漬け物、お浸し、和え物、煮物、炒め物、サラダなど
からし菜は塩漬けにされることが多いですが、ゆでてお浸しや和え物にしてもおいしく食べられます。ただ、加熱しすぎると持ち味である辛味が減少してしまうので気をつけましょう。
最近では葉茎が細くて切れ込みの多い「サラダからし菜」の需要も増えてきています。こちらは生のまま食べられるのでお手軽です。
カラシナの栄養と効能
生:カリウム(620mg)、葉酸(310 mcg)、βカロテン当量(2800mcg)、ビタミンC(64 mg)、カルシウム(140mg)、ビタミンK(260mcg)
注目成分
アリルイソチオシアネート
期待される効能
高血圧予防、がん予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防、貧血予防、風邪予防、骨粗鬆症
からし菜は栄養素の豊富な緑黄色野菜です。免疫力を高めたり活性酸素を抑制する働きのあるβカロテンや、血圧の上昇を抑える作用のあるカリウム、造血作用のある葉酸などを多く含みます。またカルシウムやビタミンKは骨の健康に役立ち、ビタミンCは風邪予防や美肌効果に期待できます。
辛味成分のアリルイソチオシアネートは食欲を高めたり抗菌作用があるといわれます。
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カラシナの種類(品種)
からし菜
「葉からし菜」ともいい、葉が濃い緑色で切れ込みがあり、ほどよい辛味が特徴です。長さは20~30cmほどで、おもに漬け物やお浸し、炒め物などに利用されます。種類としては「黄からし菜」や「大山菜」「二塚からし菜」などがあります。
高菜
からし菜の一種で、葉は幅広く肉厚で、ピリッとした辛味があります。漬け物に使われることが多く、葉の大きな「大葉高菜」や赤紫色の「赤大葉高菜」のほか、福岡県で栽培されている「三池高菜」などがあります。また博多の特産である「かつお菜」も高菜の仲間ですが、これは辛味がありません。旬は11月から3月頃です。
サラダからし菜
生で食べられるからし菜。葉と茎が細く、葉には深い切れ込みがあり、見た目は水菜に似ています。シャキシャキとした食感で少し辛味があり、サラダはもちろん、お浸しや漬け物、鍋物にも利用することが可能です。「リアスからし菜」や葉の赤い「赤リアスからし菜」などがあります。
マスタードグリーン
葉が薄く生のまま食べられる西洋からし菜。葉は幅広で、きれいな緑色をしていて、ピリッとした辛味が特徴です。サラダのほか、葉が大きいのでそのままサンドイッチに挟むのもおすすめ。スーパーでは葉を数枚重ねてパックしたものが売られていることもあります。
レッドマスタード
葉が赤色になるからし菜。葉色は栽培状況によって違いがあり、全体が濃い赤紫色のものもあれば、緑色の葉に赤みがさした状態のものもあります。からし菜特有の辛味が効いていて風味がよく、サラダのアクセントに最適。若いうちに摘み取ったものはベビーリーフとしても利用されています。
博多蕾菜(つぼみな)
からし菜の仲間で、葉の付け根から出てくる小さなわき芽を食用としたもの。上部が緑色で、根元は白く、歯ごたえがあって甘味の中にほどよい辛味があります。出回り時期は1月から3月頃。炒め物や天ぷら、和え物などのほか、生のままサラダにも利用できます。
わさび菜
からし菜のように少し辛味があり、葉がギザギザとしていて切れ込みが深く、歯触りがよいのが特徴。生のままサラダにするほか、炒め物や味噌汁など加熱料理にも使えます。からし菜の変種から誕生したといわれています。