きゅうり 胡瓜 Cucumber
基礎データ DATA
キュウリの旬(出回り時期)
※これはキュウリの出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 青果物卸売市場調査 品目別:主要卸売市場計(2023年)を参考にしています
キュウリの概要
きゅうりは塩、味噌、醤油、酢など日本の調味料との相性がよく、サラダや漬け物、酢の物などいろいろな味が楽しめます。魅力はなんといってもみずみずしくパリッとした歯ごたえと独特の風味でしょう。「独特の風味が苦手」という人もいますが、最近では品種改良によっておいしく食べやすく進化しています。
ちなみにきゅうりの語源は「黄瓜」からきたといわれています。その理由は、完熟すると30cmほどの大きさになり皮が黄色くなるからです。しかし、完熟すると味が落ちてしまうため、現在のように未熟な緑色のうちに収穫して食べるようになりました。
キュウリの歴史
キュウリの原産地はインド北部からネパールにかけてのヒマラヤ山麓といわれています。インドでは少なくとも3000年以上前には栽培されていて、西アジアでも紀元前に定着していたと考えられています。ヨーロッパには14世紀頃に伝わりました。
日本へは10世紀頃(一説には6世紀頃)には渡来していましたが、栽培が盛んになったのは江戸時代後期になってからです。農業全書(1697年)には、「黄瓜の名は胡瓜、是下品の瓜にて(中略)都にはまれなり」という記述があり、当時はまだ地方でしか栽培されていなかったことがうかがえます。
キュウリの選び方(見分け方)
皮に張りがありトゲがピンととがっているものが新鮮です(※イボなしきゅうりはトゲがありません)。また皮が濃い緑色で持ったときに重みがあり、太さがなるべく均一のものを選びましょう。果実が大きく曲がっていても味は変わりません。
最近はあまり見かけませんが、白い粉のついた「ブルームきゅうり」もあります。ブルームとは、表面を保護し水分の蒸発を防ぐ役割をする成分のことです。ブルームきゅうりの場合、全体に白いブルームがついているほうが新鮮です。
キュウリの保存方法
きゅうりは水気に弱いので、水気をしっかりふき取り、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。このときポリ袋は密封せず、可能であればヘタを上にして立てて置くようにします。きゅうりは日持ちしないのでなるべく2~3日以内に食べきるようにしましょう。冬場など13度~15度くらいの室温であれば、新聞紙などに包んで保存することも可能です。
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キュウリの食べ方
サラダ、漬け物、酢の物、炒め物など
漬け物や酢の物にする場合は、調理する前に薄い塩水につけておくと、水分が抜けて味がしみこみやすくなります。色鮮やかにしたい場合は、塩を振ってからまな板の上で転がし、すばやく熱湯にくぐらせるとよいでしょう。
気をつけたいのはきゅうりに含まれる「アスコルビナーゼ」という成分。これはビタミンCを破壊する酵素で、細かく刻んだりすり下ろすと細胞が壊れて活性化します。これを活性化しないようにするには、酢を使うかもしくは加熱すれば大丈夫です。
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キュウリの栄養と効能
生:カリウム(200mg)、βカロテン当量(330mcg)
期待される効能
風邪予防、がん予防、高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防
ナトリウムを排出させる作用のあるカリウムを多く含んでいるので高血圧や生活習慣病の予防に効果が期待できます。利尿作用もあるので、夏場のむくみ対策にもよいでしょう。またきゅうりは体を冷やす効果があるといわれるので、夏場のほてりを抑えたいときにもおすすめです。
免疫力を高め、抗酸化作用により老化抑制やがん予防によいとされるβカロテンも多少含まれています。
きゅうりは「栄養価の低い野菜」として不名誉な紹介をされることもありますが、特に低いというほどではありません。
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キュウリの種類(品種)
白いぼきゅうり
市場の9割以上を占め、主流となっているのがこの白いぼきゅうりです。果皮の色が緑〜濃緑でいぼの先が白色。皮が薄くて苦みが少なく、みずみずしくて食べやすいため安定した人気があります。ちなみに、いぼの先が黒い「黒いぼ系」は皮がかためで少し苦みがあり、現在ではあまり生産されていません。
いぼなしきゅうり
いぼがなく表面がつるつるとしたきゅうりです。歯切れがよく特有の風味も少ないため、きゅうりが苦手という人にもおすすめ。また、いぼのない品種は加工用としての需要も高まっています。品種としては「フリーダム」などが有名です。
四川きゅうり
一般的なきゅうりに比べて表面のいぼが多く、見た目がとげとげしいのが特徴。果皮の色は濃緑で皮がちりめん状になっています。中国系の「四葉(すうよう)」という品種を改良したもので、皮がやわらかく果肉がしっかりしているので、味がしみこみやすく、漬け物にすると美味です。
加賀太
石川県の特産で長さ20~25cm、直径6~10cmほどの大型のきゅうり。大きいものは600g以上になります。皮はかためですが果肉は厚みがあってやわらかく、あんかけや煮物、炒め物などにして食べるほか、スープや酢の物にしてもおいしく食べられます。
ミニきゅうり
普通のきゅうりを若いうちに収穫したものや、小型専用品種として育成された8~12cmほどの小さいきゅうりの総称です。小型専用品種では、長さ8cmほどの「ミニQ」や、いぼがなくて太めの「ラリーノ」、イタリア種の「ピッコロ」などがあります。また、黄色い花をつけた3cmほどの「花丸きゅうり」は、料理の彩りとして添えられます。
白きゅうり(半白きゅうり)
皮が白みがかった淡い黄緑色のきゅうり。全体が白っぽいものと、2/3くらいが白い「半白きゅうり」があります。半白きゅうりには、伝統野菜の「馬込半白節成」や「相模半白節成」などがあり、全体が白いきゅうりには「ホワイティ25」などがあります。どちらも歯切れがよく、生食はもちろん漬け物もおすすめです。
各地の年間収穫量 きゅうり
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
出典:農林水産省統計
2022年のきゅうりの収穫量のうち最も多いのは宮崎県で、約6万4,500トンの収穫量があります。2位は約5万5,800トンの収穫量がある群馬県、3位は約4万4,000トンの収穫量がある埼玉県です。
栽培面積・収穫量の推移
出典:農林水産省統計
2022年のきゅうりの栽培面積は約9,770ヘクタール。収穫量は約54万8,600トンで、出荷量は約47万6,900トンです。
キュウリの輸入先と輸入量
出典:財務省統計
キュウリはカナダと韓国から輸入されています。カナダからの輸入量は約16.3トンで、全体の80%以上を占めています。韓国からの輸入量は約3.5トンで、全体の約18%程度です。
年別輸出入量
出典:財務省統計
キュウリは海外から輸入されています。2022年の輸入量は約19.8トンで輸入額は約1,946万円です。輸入量は前年と比べると4.8トン(約32%)増加しています。
主要生産国(上位5か国)
出典:FAOSTAT(2021年)
キュウリ類生産の上位5か国は、中国、トルコ、ロシア、メキシコ、ウズベキスタンです。1位の中国の生産量は年間約7,725万8,256トンで全体の約82%を占めています。2位のトルコは年間約193万8,545トンで全体の約2%、3位のロシアは年間約163万5,903トンで全体の約2%です。
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