まつたけ 松茸 Matsutake

  • 松茸(宮城県産)

    松茸(宮城県産)

  • 松茸(宮城県産)

    松茸(宮城県産)

  • アメリカ産松茸

    アメリカ産松茸

  • カナダ産松茸

    カナダ産松茸

  • トルコ産松茸

    トルコ産松茸

基礎データ DATA

  • 分類:キシメジ科キシメジ属
  • 原産地:日本を含む東アジア(国内産)
  • 季節の分類:秋
  • 多く出回る時期:7月~11月頃(外国産)、9月~10月頃(国内産)
  • 国内の年間出荷量:約39トン(2021年)
  • おもな産地長野県(約82%)、岩手県(約15%)、宮城県(約3%)

マツタケの概要

カナダ産松茸 松茸(国内産)

「秋の味覚の王様」といわれる松茸。9~10月頃に収穫され、その芳醇な香りで多くの人を魅了します。人工栽培ができず生育条件も厳しいことから収量は限られ、そのため価格は高く、特に国内産のものは貴重な存在となります。

国内産松茸の不足を補うために登場するのが、中国やアメリカなどからの輸入松茸。輸送に時間がかかるため、国内産に比べて風味は多少落ちますが、価格が低めなのが魅力です。ちなみに松茸をこれほど珍重しているのは日本人だけで、欧米では松茸の香りは好まれないそうです。

松茸の種類をざっと大まかに分けると、「日本、韓国、中国、北欧」のグループ、「アメリカ、カナダ」のグループ、「トルコ、地中海沿岸諸国」のグループ、そして「ヨーロッパ」のグループに分けられます。グループ内の松茸は見た目が同じですが、DNAの解析方法によっては日本産と韓国産では類縁度が高く、日本産と中国南西産では類縁度が低いというところまで判別できるそうです。

マツタケの歴史

松茸は日本や中国、朝鮮半島などに分布し、古くから食べられていました。書物では「万葉集巻第十」の中に「秋の香」、「古今和歌集」にも「茸狩り」の文字があります。ただ、どちらも「松茸」とは書かれていないのではっきりとはわかりません。松茸という文字は11世紀頃から登場しはじめ、それ以降はさまざまな文献に記録されています。

松茸は赤松などの根元に生えますが、樹齢の高い木やまったく人の手が入らない場所では生育しにくいという特性があります。昔は松などの薪を燃料にしていたため、人が山に入ることで松茸の生育環境が作られていましたが、今は山が放置されているため育たなくなってしまったそうです。また、松茸が生育するのに適した樹齢の赤松が減ってきていることも原因のひとつといえるでしょう。

マツタケの選び方(見分け方)

選び方

松茸はカサがまだ開いていない状態のものは「コロ」と呼ばれ、成長するにつれて「つぼみ」「中つぼみ(中開き)」「開き」などと呼び名が変わります。またそれぞれの状態によって香りや味わいも違ってきます。

香りとうまみのバランスが優れているのはカサの裏側の膜切れがない「つぼみ」で、価格も一番高く高級品とされます。「コロ」は長さ6cm以下の未成熟なもので、やわらかくて食感はよいですが香りがやや少なめです。

逆に香りが強いのはカサが80%以上開いた「開き」で、まつたけご飯に適しています。ただ、カサが開いたものは香りが飛びやすいので早めに調理しましょう。

いずれも軸が太くて弾力があり、傘の裏のヒダが汚れていないものを選びます。鮮度が落ちるとせっかくの香りも減ってしまうので、全体がしっとりしていて乾燥していないかも要チェックです。また軸がフカフカしてやわらかなものは虫食いのおそれがあります。

マツタケの保存方法

松茸は鮮度が命です。買ってきたら香りと風味が落ちないうちにすぐ調理しましょう。保存する場合は、新聞紙で包んでポリ袋に入れるか、またはラップで包んで冷蔵庫に入れます。その際、水分がつかないように気をつけてください。

食感は多少悪くなりますが、冷凍も可能です。石づきをそぎ落として汚れをふきとり、ラップに包むか保存用袋に入れて冷凍庫へ。自然解凍で半分ほど解凍すれば松茸ご飯やお吸い物などに使えます。

マツタケの食べ方

吸い物、松茸ご飯、土瓶蒸し、炭火焼き、すき焼き、天ぷらなど

松茸は水洗いせず、絞ったふきんなどで汚れをふき取ります。ただ、輸入松茸は汚れが落ちにくいことがあるので、その場合は松茸を水につけながら指や布巾でこするとよいでしょう。汚れを落としたら水気はしっかりふき取ってください。

カットする場合は包丁で切るよりも手でさいたほうが香りが豊かに仕上がります。石づきをそぎ落としたら、カサに切れ目を入れてそこから軸に向かってさくとよいでしょう。

炊き込みご飯などにする場合は気にする必要はありませんが、加熱しすぎると食感や香りが軽減するので注意が必要です。

マツタケの栄養と効能

生:カリウム(410mg)、ナイアシン(8.0mg)、食物繊維総量(4.7g)、冷え症、食欲増進

注目成分

マツタケオール、桂皮酸メチル

期待される効能

高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防、便秘予防

松茸には腸のぜん動運動を促進する不溶性食物繊維が豊富に含まれているので、便秘予防に効果が期待できます。また毛細血管を広げて血行をよくする働きのあるナイアシンや、血圧の上昇を抑えて高血圧予防によいとされるカリウムも多めです。

松茸の香りは「マツタケオール」や「桂皮酸メチル」によるもので、食欲増進を促す作用があるといわれています。

マツタケの種類(品種)

国内産松茸

国内産松茸

おもに赤松林に発生する香りの高いきのこ。芳醇な香りと歯切れのよさが魅力ですが、収穫量が少ないため価格が高く貴重な存在です。カサの開き具合によって「コロ」や「つぼみ」「開き」などと呼び名が変わり、松茸ご飯やお吸い物、天ぷらなどさまざまな食べ方が楽しめます。9月中旬頃から東北産が店頭に並び始め、10月下旬頃には九州産が見られます。

中国産松茸

中国産松茸

南西部の雲南省や四川省、東北の吉林省や黒竜江省などで収穫されています。見た目は国内産松茸とほぼ同じで、価格が国内産に比べて安いのが魅力。収穫してから店頭に並ぶまでに時間がかかるため、香りは国産に比べると低めで食感は少しやわらかです。汚れが気になる場合は、ぬるま湯に浸けながらこするとよいでしょう。早いと7月頃から出回りますが、旬は9月頃。

韓国産松茸

韓国産松茸

韓国から輸入されている松茸も中国産同様に輸送に時間がかかるため、香りは国産ものに比べて低めで食感も少しやわらかめ。襄陽という地域が主産地で、9〜10月がシーズン。味わいは輸入ものの中でもっとも国内産に近いといわれています。

アメリカ・カナダ産松茸

アメリカ・カナダ産松茸

「アメリカマツタケ」とも呼ばれ、全体が白っぽいのが特徴です。日本の松茸とは種類が異なりますが、香りや味わいは似ています。食感がやややわらかめですが、香りは強く、カサが大きめのものが多いので天ぷらやすき焼き、パスタなどにもおすすめ。出回り時期は9〜11月頃で、価格は国内産に比べて低めです。

北欧産松茸

北欧産松茸

スウェーデンやフィンランドで採れる松茸。もともと国産松茸に近いといわれていましたが、DNA解析により日本の松茸と同じグループであることが判明したそうです。輸送による香りの低下は若干ありますが、見た目や味、香りは国産のものとほとんど変わりません。早ければ8月下旬から出回ります。

トルコ・モロッコ産松茸

トルコ・モロッコ産松茸

地中海沿岸のトルコや北アフリカのモロッコなどから輸入している松茸。「オウシュウマツタケ」といい、スギなどの木に寄生します。日本の松茸と種類は異なりますが、色や見た目や国内産と似ていて、鮮度がよいものは香りもよく、価格はお手頃です。出回り時期は10〜11月頃。

各地の年間収穫量 松茸

円グラフと下表の割合(%)が違うときは?

上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。

下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。

上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。

出典:農林水産省統計

2021年の松茸の収穫量のうち最も多いのは長野県で、約32トンの収穫量があります。2位は約6トンの収穫量がある岩手県、3位は約1トンの収穫量がある宮城県です。

栽培面積・収穫量の推移

出典:農林水産省統計

2021年の松茸の収穫量は約39トンです。なお、上記グラフでは「収穫量」となっていますが、農林水産省の表記では「生産量」となっています。

マツタケの輸入先と輸入量

出典:財務省統計

マツタケは13か国から輸入されています。輸入先トップは韓国で輸入量は約143トン、全体の90%以上を占めています。2位はフランスの約5.4トンで全体の約4%程度です。3位は中国の約1.8トン。4位は約1.1トンのイタリアと続きます。

年別輸出入量

出典:財務省統計

マツタケは海外から輸入されています。2022年の輸入量は約154トンで輸入額は約9,760万円です。輸入量は前年と比べると370トン(約71%)減少しています。

野菜写真

マツタケの写真

野菜写真

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