にら 韮 Chinese chive
基礎データ DATA
ニラの旬(出回り時期)
※これはニラの出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 青果物卸売市場調査 品目別:主要卸売市場計(2023年)を参考にしています
ニラの概要
餃子のたねやレバニラ炒めなどでおなじみのニラ。夏のスタミナ食材としてもよく使われます。ニラの香りは食欲増進にもなるので、体力をつけたいときにうってつけの野菜といえるでしょう。ニラにはにんにくやねぎにも含まれる「アリシン」という香り成分が入っていて、味に深みも持たせてくれます。
一般的なニラは緑色の「葉ニラ」ですが、日光に当てずに軟白栽培した「黄にら」や、小さなつぼみがついた「花ニラ」などもあります。
ニラの歴史
原産地は定かではありませんが、中国西部から東アジアにかけての地域と考えられていて、モンゴルやインド、ベトナム、日本など広範囲で古くから栽培されてきたといわれています。
日本へは中国から伝来したといわれ、「古事記」には神武天皇の段で「賀美良(かみら)」という名前で登場します。さらに平安時代の「本草和名」という薬物辞典には「韮の和名は古美良(こみら)」と記されています。ほかに「万葉集」や「延喜式(えんぎしき)」などの書物にも名前が出てくるなど、古くから親しまれていたことがわかります。
ニラは長らく薬用として食べられていて、野菜として栽培されるようになったのは明治時代になってからだそうです。
ニラの選び方(見分け方)
食味のよいニラは葉の幅が広めで肉厚です。またきれいな緑色で張りとツヤがあり、ピンと葉先までまっすぐ伸びているものは新鮮な証拠。葉先が折れていたりしおれているもの、切り口が変色しているものは古いので避けましょう。
ニラの保存方法
乾燥しないよう新聞紙などで包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で立てて保存します。傷みやすいので2~3日くらいを目安に使い切りましょう。
使い切れない場合は適当なサイズにカットして冷凍すれば1ヶ月くらいは日持ちします。冷凍する前に水洗いし、しっかりと水気をふきとりましょう。保存用の袋に入れたらなるべく空気をぬいてください。使用するときは袋から出してそのまま使います。
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ニラの食べ方
炒め物、鍋物、餃子、汁物など
ニラは加熱時間が長いと色が悪くなり食感も風味も落ちます。炒めるときはサッと加熱する程度にするとよいでしょう。また根元に近いほうが香りが強いので、風味を生かしたいなら葉先より根元を使用します。
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ニラの栄養と効能
ゆで:βカロテン当量(4400mcg)、カリウム(400 mg)、ビタミンK(330 mcg)、葉酸(77mcg)
注目成分
アリシン
期待される効能
風邪予防、貧血予防、がん予防、高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防、骨粗鬆症、疲労回復
ニラには強い香りがありますが、それはニンニクやネギなどにも含まれる硫化アリルの一種「アリシン」によるものです。アリシンにビタミンB1の吸収を高めて糖の代謝を促進する作用があり、スタミナアップに役立つといわれています。また血の流れをよくして血栓を予防したり、食欲を増進させる働きもあるとされます。アリシンは特に根元部分に多く含まれていて、細かくカットすると香りが増加するといわれています。
また緑の部分には抗酸化作用があるβカロテンが多く含まれています。βカロテンは油と一緒に摂ると吸収が高まるので、ビタミンB1の多い豚肉と一緒に炒めると効果的です。ほかにも血圧の上昇を抑えるカリウム、止血作用や骨の健康維持に役立つビタミンK、造血作用のある葉酸などが含まれています。
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ニラの種類(品種)
にら
一般的なにらは濃い緑色の葉を食べる「葉にら」で長さは30cmくらい。特有の香りを生かして炒め物や鍋物、餃子の具などに使われています。周年出回っていて、「スーパーグリーンベルト」や「パワフルグリーンベルト」など「グリーンベルト」系の品種が多く栽培されています。
黄にら
日光に当てないようにして軟白栽培したもの。「にらもやし」とも呼ばれます。やわらかくてほのかに甘味があり、香りもマイルド。スープや春巻き、餃子など中華料理によく使用されます。栽培に手間がかかるので価格は普通のにらに比べてやや高めで収穫量は多くありません。
花にら
葉にらの茎が伸びてつぼみがついた状態のもの。つぼみと花茎の部分を食べます。つぼみも花茎もやわらかく、油で炒めるとシャリッとした独特の歯ごたえがあり、天ぷらにしても美味。香りは少なめで、旬は4〜8月頃です。
各地の年間収穫量 にら
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
出典:農林水産省統計
2022年のにらの収穫量のうち最も多いのは高知県で、約1万4,300トンの収穫量があります。2位は約8,320トンの収穫量がある栃木県、3位は約6,780トンの収穫量がある茨城県です。
栽培面積・収穫量の推移
出典:農林水産省統計
2022年のにらの栽培面積は約1,890ヘクタール。収穫量は約5万4,300トンで、出荷量は約4万9,800トンです。
主要生産国(上位5か国)
出典:FAOSTAT(2021年)
長ねぎ(にら)生産の上位5か国は、中国、マリ、アンゴラ、日本、韓国です。1位の中国の生産量は年間約86万4,488トンで全体の約17%を占めています。2位のマリは年間約61万576トンで全体の約12%、3位のアンゴラは年間約55万8,480トンで全体の約11%です。
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