最近よく聞く「伝統野菜」とは何?

野菜からタネを採って繰り返し育てる

近年「伝統野菜」という言葉をよく耳にするようになりました。「京野菜」や「加賀野菜」「江戸野菜」のほか、山形県や奈良県、福岡県、大阪(なにわ)など全国各地にさまざまな伝統野菜があります。各地の特産品なのはわかりますが、一般的な野菜とどう違うのでしょうか。

「伝統野菜」について農林水産省のホームページを見ると、

その土地で古くから作られてきたもので、 採種を繰り返していく中で、その土地の気候風土にあった野菜として確立されてきたもの

と書かれています。特に定義があるわけではありませんが、長い年月をかけてその土地になじみ、定着したものが伝統野菜というわけです。

交配種や一代雑種、F1品種とは?

スーパーなどに並んでいるごく普通の野菜は、「交配種」や「一代雑種」「F1品種」などと呼ばれ、形がよく栽培しやすいように品種改良されたものです。栽培する農家は種苗メーカーなどからタネを購入するので、その作物からタネを採ることはありません。なぜならF1品種の野菜のタネを育てても、親とは異なる形質が現れるため、品質を保てないからです。

一方、伝統野菜は「固定種」ともいわれ、毎年野菜ができるとその野菜からタネを採り、そのタネから育てます。固定種の野菜のタネは親と同じ性質を受け継ぐので、タネを採れば繰り返し同じ作物を栽培できます。ただ、固定種の野菜は形が不ぞろいだったり、タネの管理が大変だったり、成長が遅いなど生産効率はよくありません。そのため効率よく栽培できるF1品種が主流になっているのです。

しかし近年では、長年その土地で受け継がれてきた味を大切にしたい、旬の時期に野菜本来の味を楽しみたいなどの思いから、伝統野菜が見直されています。インターネット通販などで購入できるものもあるので、興味のある方は試してみてください。

なお、おもな伝統野菜の一覧は「全国の伝統野菜(地域野菜)を知りたい」のページにまとめてあります。